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伊藤園 2026年4月期 第1四半期決算|「お〜いお茶」と無糖シフトで増収増益、次の一手は海外とESG

教授、コンビニで「お〜いお茶」がちょっと高くなってました。でも気づいたら手に取ってて……。

その“つい買ってしまう”がブランドの強さだよ。実はその1本が、伊藤園の四半期決算を後押ししているんだ。

私の1本も?なんだか誇らしいです。

うん。今日は最新決算を、数字と背景から丁寧にひもといていこう。

伊藤園は2026年4月期第1四半期(対象:2025年5〜7月)を発表。

連結売上高1,308.7億円(前年同期比+4.7%)、営業利益83.6億円(+17.3%)、経常利益89.2億円(+23.6%)、純利益57.1億円(+28.6%)と増収増益を達成しました。

国内飲料市場は成熟し競争が激しい一方、同社は“無糖×緑茶”という芯をぶらさず、猛暑需要と価格改定の定着を追い風に利益を積み上げています。

本記事では数値の確認に加え、無糖茶シフトの背景、セグメントの動き、強みと課題、通期の注目点までを会話も交えてわかりやすく整理します。

目次

決算ハイライト(連結・単独)

まずは主要数値を俯瞰します。連結では四半期ベースで二桁増益、単独は利益項目に一時要因が見られるものの、基礎体力の強さは揺らいでいません。

連結(単位:億円)

スクロールできます
項目2025年Q12026年Q1増減率
売上高1,250.41,308.7+4.7%
営業利益47.483.6+17.3%
経常利益72.289.2+23.6%
純利益44.457.1+28.6%

単独(単位:億円)

スクロールできます
項目2025年Q12026年Q1増減率
売上高900.6933.2+3.6%
営業利益57.575.1+19.8%
経常利益60.775.8+24.8%
純利益34.331.3-8.8%

数字は素直に良好だね。単独の純利益が落ちたのは一時費用や税効果の影響とみるのが自然だ。

連結が増益なら、会社全体の流れは前向きってことですね。

業績の傾向まとめ|無糖茶が中核、値上げ定着と猛暑が追い風

今回の四半期は、伊藤園が長年積み上げてきた「無糖茶の圧倒的な存在感」が改めて数値で示されました。

炭酸・加糖より健康志向へ、という生活者の選好変化が骨太な需要を生み、値上げ定着と猛暑の量的押し上げが利益に効いています。

  • 無糖茶飲料の構成比が75%以上に拡大し、価格弾力性が相対的に高いカテゴリでの販売を確保
  • 主要チャネル(CVS/量販/自販機)で「お〜いお茶」中心に回転が改善、棚どり・フェイス確保に成功
  • 価格改定の定着とSKU最適化で粗利率が改善、販促も効率運用で販管費率を抑制
  • 炎暑需要で大型PETのケース販売が伸長、家庭内ストック需要の取り込みも寄与

たしかに周りでも、甘い飲料からお茶に乗り換えた人が増えました。

生活の“ベースドリンク”を取っているのが強い。日々の選好変化は、四半期の数字を確実に押し上げるんだ。

セグメント別業績|国内飲料・茶葉食品・海外の三本柱

伊藤園の事業は大きく三層で動きます。国内飲料は「お〜いお茶」を軸に面で取り、茶葉・食品は高付加価値の健康提案で深さを作る。海外は“日本産緑茶”の文脈でブランドを積上げる、という役割分担です。

  • 国内飲料:主力の緑茶PETが堅調。大型PETは家庭内ストック、500mlは外出需要の回復で回転。機能性表示や無糖強化の新SKUも寄与。
  • 茶葉・食品:家庭用は横ばいながら、プレミアムティー・粉末緑茶・健康茶が着実に伸長。お茶の“飲用以外”用途提案も継続。
  • 海外:北米・アジアで「O-i Ocha」が“ヘルシーでクリーン”な選択肢として浸透。英語圏の流通で棚確保が進み、和食・抹茶人気も追い風。

海外は数量の伸びが続くと利益感度が一段と高まる。物流・原価の最適化が次の論点だね。

日本のお茶が海外の毎日飲む定番になったら、なんだかワクワクします。

良かった点|ブランド×無糖×運用最適化の三拍子

“売れるブランド”に“売れるカテゴリ”を合わせ、さらに運用面で最適化できているのが今期の強みです。広告を積まなくても動くベースを持ちながら、必要な局面では一点集中で効かせる運用が光ります。

  • ブランド力:「お〜いお茶」が緑茶の代名詞として定着、指名買いが底堅い
  • カテゴリ選択:無糖シフトの本流に乗り、値上げ定着後も離反が限定的
  • 運用の巧さ:SKU/販促/在庫の最適化で粗利・販管費の両面を改善
  • 海外の芽:英語圏・アジアでの棚拡大が継続、将来の成長ドライバーに

看板を出さなくても人が集まる人気店、みたいな状態ですね。

そう、店の“地力”があるからこそ、投資配分の自由度が増すんだ。

課題・懸念点|コスト高、国内成熟、単独利益のブレ

盤石に見える一方で、気を抜けない論点もあります。

特に原材料・物流のコスト高は業界共通の逆風で、価格改定後の需要維持には丁寧な運用が欠かせません。

  • コスト圧:茶葉・PET樹脂・資材、燃料・人件費などの上昇圧力が継続
  • 国内成熟:人口動態・競争により量の拡大は容易でなく、価値と価格の設計勝負へ
  • 単独純利益:一時要因でブレが出やすく、投資家心理のノイズになりうる
  • 為替・外部環境:海外展開の拡大に伴う為替影響、サプライチェーン混乱のリスク

売れていても、コストの壁は高いんですね。

だからこそ“選ばれる理由”を積み上げ続けることが、安定成長の条件になる。

競合比較|伊右衛門・綾鷹との違いは“芯の強さ”

国内ではサントリー「伊右衛門」、コカ・コーラ「綾鷹」など強力な競合がいます。広告投下や季節限定の打ち手は彼らが得意ですが、伊藤園は“緑茶=お〜いお茶”という心象の強さと、無糖ど真ん中の芯で勝負している点が異なります。

  • サントリー:ブランド刷新・広告で話題化に長けるが、緑茶での“指名買い”は伊藤園が一枚上
  • コカ・コーラ:炭酸・ジュースでの強さが主軸、緑茶はポートフォリオの一部にとどまる
  • 伊藤園:製品・流通・農業連携まで“お茶の会社”として積層的に磨き込み、長期の競争優位を構築

短期の話題より、日常の“定番”を取りきる力が伊藤園の個性だよ。

毎日の一本を守るって、地味だけどいちばん難しそうです。

ESGとサステナビリティ|“お茶の会社”らしい積み上げ

環境・社会面の取り組みも、長期の評価軸として欠かせません。伊藤園は茶殻リサイクルや再生PET、産地との共創など、“お茶の会社”ならではの実装を広げています。

  • 茶殻リサイクル:製紙・建材等への活用で廃棄物削減と循環型モデルに寄与
  • 容器対策:再生素材ボトルや軽量化の推進で資源・CO2負荷を低減
  • 産地連携:契約栽培・品質トレーサビリティで持続可能な供給と価値を両立

飲み終わった後の世界まで設計してるんですね。

ESGは“見えないブランド価値”。値上げ受容性にも効いてくる要素だ。

通期見通しと注目点|“量”より“価値”を磨く年

会社は通期で売上高5,300億円、営業利益350億円、当期純利益200億円規模を見込みます。焦点は、国内で“量”より“価値”に振る舵取りと、海外での面展開の両立です。

  • 国内:無糖×緑茶の核をより高付加価値に。機能性・プレミアム化・家庭内ストックの提案を継続
  • 海外:英語圏・アジアでの棚拡大、認知浸透。ローカル嗜好に寄り添うSKU最適化が鍵
  • 収益:粗利率の上積みと販管費の最適運用で、コスト高を吸収する“筋肉質”の維持
  • 資本配分:成長投資優先の姿勢を保ちつつ、安定的な株主還元とのバランスに注目

配当を増やすより、まずは成長投資を選ぶ感じ?

そうだね。“定番をもっと強い定番にする”投資が、長い目ではいちばん効く。

まとめ|投資家は何を見るべきか

総じて、今期の伊藤園は「ブランド×カテゴリ×運用」の三位一体で好循環を回しました。

無糖茶という生活インフラのようなカテゴリを握り、値上げ定着・猛暑の追い風を利益に変換。海外でも“日本の緑茶”という物語性が通用し始めています。

一方、原材料・物流のコスト高と国内成熟は重力として働くため、価値提案と運用の巧さで浮力を積み増せるかが勝負どころです。

投資家目線では、短期はコストの振れにより株価の上下があり得ますが、中期は海外拡大と粗利改善、長期はESGとブランドの持続性で評価が安定しやすい構図。

配当狙いの高利回り株ではないものの、“毎日選ばれる定番を強くする”タイプの成長株として、積立・押し目での時間分散が親和的です。

教授、やっぱり「お〜いお茶」って日常に溶け込みすぎてて、数字の裏にある力を見落としがちですね。

そこが面白いところだよ。生活習慣そのものを握っている企業は強いんだ。

じゃあ、私が毎日買って飲む1本も、将来の株主価値を作ってるってことですか?

その通り。小さな消費の積み重ねが企業の四半期を動かし、投資家の判断材料にもなる。

なんだか私も、飲むたびに“投資家の一員”みたいに感じられます。

その感覚を持つのは大事だよ。消費と投資は地続きだからこそ、数字を見る目が自然と養われていくんだ。

免責事項
本記事に記載された数値は決算短信や関連資料をもとにしていますが、四捨五入や単位換算により実際の公式発表値と若干異なる場合があります。
また、株式投資に関する見解はあくまで筆者の個人的な意見であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は読者ご自身の責任において行ってください。

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