寿司よりもクラウド?決算を肴に今日も議論

教授、最近ニュースで「日本オラクルの決算が発表された」って聞きましたけど、オラクルってデータベースの会社ですよね?



そうだね。企業の基幹システムを支えるデータベースで世界的に有名な会社だよ。そして最近はクラウド分野にも力を入れている。



なるほど。でも正直「データベース」って聞くと、ちょっと地味に感じちゃいます…。



そこが面白いところなんだ。表向きは地味だけど、企業が動く上で欠かせない存在なんだよ。たとえばスーパーのレジでスムーズに会計ができるのも、在庫管理がきちんと回るのも、裏ではデータベースが動いているからなんだ。



へぇ!じゃあ私たちが普段「寿司が美味しかった」とか「アプリで買い物した」って体験の裏に、オラクルの技術が関わっているかもしれないってことですか?



その可能性は高いね。だから「寿司ネタの裏にクラウドあり」なんて冗談も言えるくらいだ(笑)



じゃあ今日のテーマはお寿司じゃなくてクラウドですね!



そういうこと。今回の決算はクラウドがどれだけ伸びているか、そして財務体質がどう改善しているかが見どころなんだ。



うーん…「クラウドが伸びた」「財務が改善した」って言われてもピンときません。もっと初心者向けに解説してください!



もちろん。じゃあ次の章で、決算全体の概要をわかりやすく整理してみよう。
2026年5月期第1四半期決算の概要
日本オラクルは、2026年5月期第1四半期(2025年6月〜8月)の決算を発表しました。結果は 売上高662億75百万円(前年同期比+3.7%) と増収ながら、営業利益211億28百万円(同▲4.8%) と減益基調。
一見すると「利益が減ったのか…」と不安に感じるかもしれません。しかしその内訳を見ると、むしろ中長期的な成長が見えてきます。クラウド関連事業は 前年同期比+37.2% と驚異的な伸びを示し、従来型ライセンス収益の減少を補って余りある勢いを持っています。
さらに注目すべきは 自己資本比率が48.5% → 51.8%へと大きく改善 している点です。つまり利益剰余金が着実に積み上がり、財務の健全性が増している。投資家にとっては安心材料となるでしょう。
読者へのポイント
- 「増収減益」の見出しに惑わされず、中身を見ることが大事。
- クラウド事業の急成長が数字の裏に隠れている。
- 財務体質の改善で長期的な安定性も強化。



教授、売上が増えてるのに利益が減ってるのは、ちょっと不思議です。



いい質問だね。これは前年同期にライセンスの「駆け込み需要」があった反動や、投資コストの増加が要因なんだ。でもその裏でクラウドが大きく伸びている。だから短期的な減益よりも、長期的な成長に目を向けた方がい



なるほど。つまり「派手さはないけど、足元は着実に伸びてる」ってことですね。



その通り。そして今回の決算は、投資家にとって「オラクルがクラウド時代でも存在感を保てるか?」を確かめる材料になったんだ。
- 売上は前年同期比で着実に成長(+3.7%)
- 営業利益・純利益は減益も、クラウドが+37.2%増と爆発的成長
- 自己資本比率が改善し、財務の安定性が向上
- 短期的な反動減よりも、中長期のクラウド成長に注目すべき
決算ハイライト|主要数値と前年同期比較
まずは決算サマリーです。
日本オラクル 決算サマリー
年度 | 売上高 (百万円) | 営業利益 (百万円) | 経常利益 (百万円) | 純利益 (百万円) | 1株あたり純利益 (円) | 自己資本比率 (%) |
---|---|---|---|---|---|---|
2026.05.Q1 | 66,275 | 21,128 | 21,369 | 14,805 | 115.65 | 51.8 |
2025.05.Q4 (通期) | 263,510 | 86,832 | 87,454 | 60,725 | 473.98 | 51.7 |
2025.05.Q3 | 192,892 | 64,219 | 64,752 | 44,857 | 350.03 | 54.3 |
2025.05.Q2 | 125,295 | 41,913 | 42,356 | 29,342 | 228.95 | 49.5 |
2025.05.Q1 | 63,915 | 22,194 | 22,193 | 15,374 | 119.99 | 48.5 |
次に日本オラクルの2026年5月期第1四半期決算の主要数値を前年同期と並べて見てみましょう。
FY25Q1 vs FY26Q1 業績比較(日本オラクル)
項目 | FY25.05.Q1 | FY26.05.Q1 | 増減率 |
---|---|---|---|
売上高 (百万円) | 63,915 | 66,275 | +3.7% |
営業利益 (百万円) | 22,194 | 21,128 | -4.8% |
経常利益 (百万円) | 22,193 | 21,369 | -3.7% |
四半期純利益 (百万円) | 15,374 | 14,805 | -3.7% |
EPS (円) | 119.99 | 115.65 | -3.6% |
自己資本比率 (%) | 48.5 | 51.8 | +3.3pt |
- 売上高は+3.7%と増収。クラウド関連が引き続き成長要因。
- 利益面(営業・経常・純利益、EPS)は前年同期比で微減。前年同期にあった価格改定前の需要の反動減が影響。
- 自己資本比率は48.5% → 51.8%へ改善。財務の安定性が向上。



教授、売上高は増えてるのに、利益は全部減ってますね?



その通り。売上は前年同期比+3.7%としっかり増えたけど、営業利益や純利益は減益なんだ。要因は前年の「駆け込み需要」がなくなったことと、コストが増えたことだよ。
参照:https://www.oracle.com/jp/corporate/investor-relations/financial-results/
売上高の動向
売上高は 662億75百万円 で、前年同期の 639億15百万円 から 23億円以上増加 しました。成長率は+3.7%。
この増加を牽引したのはクラウド事業で、単体で前年同期比+37.2%の伸びを示しました。企業の基幹システムをオンプレミスからクラウドに移行する流れが加速し、日本オラクルのOCI(Oracle Cloud Infrastructure)に対する需要が堅調に拡大しています。



クラウドの伸び率がすごいですね!



そうだね。売上全体では+3.7%だけど、クラウドだけで見れば30%以上。これは事業ポートフォリオが大きく変わりつつある証拠だよ。
営業利益・経常利益
営業利益は 211億28百万円(前年同期比▲4.8%)、経常利益は 213億69百万円(同▲3.7%) と減益となりました。
背景には、前年同期にライセンス収益が駆け込みで膨らんだ反動減と、クラウド基盤拡大のためのコスト増加があります。



利益が減ったのはネガティブに感じます…。



確かに短期的にはそう見えるね。でも、将来のクラウド基盤強化のための投資が今期のコストに出ている。だから中長期の視点ではプラス材料なんだ。
四半期純利益とEPS
純利益は 148億05百万円(前年同期比▲3.7%)。
EPS(一株当たり純利益)は 115.65円 と、前年同期の 119.99円 からわずかに減少しました。



EPSって株主にとって重要な指標なんですよね?



そう。EPSは株主1株あたりの利益を示すから、配当や株価評価に直結するんだ。減少しているのは残念だが、売上成長が続けばEPSは再び上昇基調に戻る可能性が高い。
自己資本比率の改善
注目すべきは自己資本比率です。前年同期の 48.5% から、今期は 51.8% へと大きく改善しました。
これは利益剰余金が積み上がったこと、株主還元後も資本が増加したことが要因です。自己資本比率50%超は、国内上場企業の中でも非常に健全な財務体質と評価できます。



安心感が増しますね



そうだね。利益率の高さに加えて財務の健全性が増しているから、投資家にとって安心感が強まる決算といえるよ。
決算ハイライトのまとめ
- 売上高は+3.7%増で堅調、クラウドが主役
- 営業利益・純利益は減益も、投資負担増と前年反動減が主因
- EPSはわずかに低下も、成長余地あり
- 自己資本比率が48.5% → 51.8%と改善し、財務は健全



教授、つまり「売上は伸びて利益は減ったけど、その理由は前向きな投資や反動減で、心配しすぎる必要はない」ってことですね?



その通り!見出しだけ見れば「減益」とネガティブに映るが、中身を見ればクラウド成長と財務改善で将来に期待を持てる内容だといえるよ。
セグメント別の動向|クラウドが牽引、ライセンスは減少
日本オラクルのビジネスは大きく分けて「クラウドサービス&ライセンス」「サポート」「ハードウェア」「サービス」に分類されます。それぞれの第1四半期の動向を見ていきましょう。
FY25Q1 vs FY26Q1 セグメント別比較(日本オラクル)
セグメント | FY25.05.Q1 (百万円) | FY26.05.Q1 (百万円) | 増減率 |
---|---|---|---|
クラウド | 13,915 | 19,097 | +37.2% |
ソフトウェア・ライセンス | 12,551 | 9,132 | -27.2% |
ソフトウェア・サポート | 27,969 | 28,308 | +1.2% |
ソフトウェア計 | 40,521 | 37,441 | -7.6% |
クラウド&ソフトウェア計 | 54,437 | 56,539 | +3.9% |
ハードウェア | 3,610 | 3,463 | -4.1% |
サービス | 5,867 | 6,272 | +6.9% |
合計 | 63,915 | 66,275 | +3.7% |
参照:https://www.oracle.com/jp/corporate/investor-relations/financial-results/
クラウドサービス&ライセンス|前年比+37.2%の大幅成長
今回の決算で最も目立ったのはクラウドサービスの伸びです。前年同期比で +37.2%増 と2桁を超える成長を見せました。特にオラクルの強みである OCI(Oracle Cloud Infrastructure) や Exadata Cloud が好調で、大規模データベースをクラウドに移行したい企業の需要をしっかり取り込んでいます。
また、生成AIやデータ分析への需要拡大も追い風になっています。大手製造業や金融機関がデータ活用を目的に新規契約を進め、クラウド関連の収益拡大に寄与しました。



教授、クラウドってAWSやAzureが強いイメージなんですけど、日本オラクルはどう戦っているんですか?



いい質問だね。確かに世界シェアはAWSやAzureが圧倒的だけど、オラクルは「データベースのクラウド移行」に特化した戦略で勝負している。既存のオラクルDBをそのままクラウドに持っていける安心感が強みなんだ。
ソフトウェアライセンス|前年比▲27.2%の反動減
一方で、従来型のソフトウェアライセンスは大きく落ち込みました。前年同期の「価格改定前の駆け込み需要」がなくなり、▲27.2%減 という結果です。
これは一見するとネガティブですが、クラウド移行が進む中で想定された流れとも言えます。企業が一度クラウドへシフトするとライセンス収入は減る代わりに、長期的・安定的なクラウド課金収入へと切り替わります。



じゃあライセンスが減ってもクラウドでカバーできるから、心配はいらないってことですね。



その通り。短期的には減収に見えるけど、中長期ではむしろ収益の安定性が増すと考えられるんだ。
サポート収入|前年比+1.2%の安定成長
「サポート収入」は、既存のソフトウェア利用企業からの保守・更新料にあたります。今回は前年同期比 +1.2% と安定した成長を見せました。
サポートはオラクルにとって「安定的な収益源」であり、クラウドほどの爆発的成長はありませんが、不況時にも収益を支える役割があります。



サポートって、いわば「定期的な会費」みたいなイメージですね?



そうだね。だからオラクルの収益構造は「クラウドの成長」と「サポートの安定」という二本柱で支えられているんだ。
ハードウェア|前年比▲4.1%、回復には時間が必要
ハードウェア事業は前年同期比 ▲4.1%減。Exadataを中心とする製品群は一定の需要を維持していますが、全体としては伸び悩んでいます。
これはグローバルなサーバー需要の減退や、企業の投資がクラウドにシフトしていることが背景にあります。ただし最新世代のExadata Cloud@Customerなど、クラウドと連携できる製品は一定の需要を取り込んでいる点はポジティブ要素です。



ハードはやっぱりクラウド時代だと不利なんですね…。



その通り。でも「ハードとクラウドのハイブリッド」を求める企業も一定数いるから、完全に消えるわけではないよ。
サービス|前年比+6.9%、堅実な伸び
最後に「サービス事業」。こちらはコンサルティングや導入支援などが中心で、前年同期比 +6.9% の増加となりました。クラウド移行に伴う支援需要や、基幹システムの刷新に関連したプロジェクトが寄与しています。



なるほど、クラウドに移行するには「人の手」も必要ってことですね!



その通り。システム移行は単にソフトを変えるだけじゃなく、業務フロー全体の見直しが必要だから、プロの支援が欠かせないんだ。
- クラウド:+37.2%増、決算の成長ドライバー
- ライセンス:▲27.2%、反動減で大きく減少
- サポート:+1.2%、安定収益源
- ハードウェア:▲4.1%、クラウドシフトの影響
- サービス:+6.9%、クラウド移行支援が堅調



教授、こうやって見ると「クラウドが伸びる一方で、ライセンスやハードは減少。でもサポートとサービスが下支え」っていうバランスですね。



まさにその通り!日本オラクルは「成長と安定の両輪」を意識したビジネスモデルを作っているんだよ。
傾向まとめ|増収減益の中でも光るクラウド事業
今回の日本オラクルの決算を整理すると、見出しだけを追えば「増収減益」という言葉に目を奪われがちです。売上高は前年同期比で伸びているものの、営業利益以下はマイナスとなりました。では、この状況をどう評価すべきでしょうか。
増収減益の要因
まず、増収はクラウド事業の拡大が寄与しています。前年同期比 +37.2% という驚異的な成長は、国内外でのクラウドシフトの波をしっかり捉えた結果です。特に金融や製造といった大手企業が、基幹システムをクラウドへ移行する需要が高まっており、オラクルのデータベースとクラウドを一体で利用するケースが増えています。
一方で、減益の背景には大きく2つの要因があります。
- 前年の駆け込み需要の反動
2025年5月期1Qでは、ライセンス価格改定前の駆け込み需要があり、一時的に売上・利益が押し上げられました。今回はその反動でライセンス収益が▲27.2%と大幅に減少しています。 - 投資コストの増加
OCIの拡張や新しいデータセンター整備、人材採用など、将来の成長を見据えたコストが増えています。その結果、営業利益は前年より減少しました。



教授、これって「悪い減益」じゃなくて「未来に向けた減益」ってことですか?



その通り!短期的には利益が削られるけれど、長期的に大きな成長を目指すための投資なんだ。
クラウドが持つ強み
クラウド事業の強みは、収益が「ストック型」で積み上がる点にあります。ライセンスは一度売ると終わりですが、クラウドは毎月・毎年課金されるサブスクリプション型のモデル。つまり「積み木のように収益が積み上がっていく」仕組みです。
この構造があるからこそ、ライセンス収入が減少しても、クラウドが伸び続ける限り長期的には安定的な成長が期待できます。



なるほど!だからクラウドが伸びると安心感があるんですね。



そうだね。実際に営業利益率は依然として30%を超えている。これは高付加価値サービスを提供している証拠だよ。
サポートとサービスの存在感
もうひとつ注目すべきは、サポート収入とサービス事業です。クラウドほどの派手さはありませんが、サポートは +1.2%増 と安定的に推移し、サービスも +6.9%増 と堅調です。
つまり、クラウドが成長ドライバーとなり、サポートとサービスが下支えすることで、日本オラクルのビジネスモデルは「攻めと守りのバランス」を取っています。



たしかに、クラウドで攻め、サポートで守るってイメージですね。



そうそう。まるでサッカーのチームみたいに、前線で点を取る役割と後ろで守る役割がうまく分かれている感じだ。
財務の健全性と株主視点
さらに見逃せないのが自己資本比率の改善です。前年同期の 48.5% から今期は 51.8% に上昇。5ポイント以上改善するのは並大抵のことではありません。利益剰余金が積み上がり、財務基盤が強化された結果です。
株主にとって、財務の健全性は「安心して長期投資できるかどうか」の判断材料になります。クラウドの成長と財務の安定、この両輪がそろったことで、日本オラクルの投資妙味はさらに高まったといえるでしょう。
- 増収はクラウドが強力に牽引(+37.2%)
- 減益は駆け込み需要反動と投資コスト増が原因
- サポートとサービスが安定収益を支える
- 自己資本比率は46.0% → 51.8%に改善、財務は健全



この決算って「一見悪そうに見えるけど、実は未来に向けていい方向に動いてる」ってことですね?



その通り!見出しの「減益」だけを見て悲観するのは早計だよ。大事なのはその裏にある成長の芽をどう評価するかだね。
良かった点|クラウド基盤と収益構造の強み
今回の決算の中で光ったのは、やはりクラウド事業の成長です。前年同期比で +37.2% と高い伸びを見せ、売上全体を押し上げました。AWSやAzureと比べると規模では劣りますが、日本オラクルは「既存のデータベース顧客をクラウドに移行させる」という独自の強みを発揮しています。
クラウド基盤の拡張
- OCI(Oracle Cloud Infrastructure)の利用拡大
- 東京・大阪のデータセンター稼働率上昇
- Exadata Cloudの導入案件が大手企業で進行
これらは単なる一時的な契約ではなく、長期契約につながるケースが多いため、今後の安定収益の基盤となります。



つまり、クラウドが伸びれば伸びるほど「毎月の家賃収入」みたいにお金が入るってことですか?



まさにそのイメージだね。ライセンスは「売り切り型」だけど、クラウドは「積み上げ型」。投資家にとって安心感のある収益モデルなんだ。
EPS改善と株主還元
今回EPSは 115.65円 と前年同期の119.99円からやや減少しましたが、売上が堅調に伸びている点を踏まえれば、通期では回復する可能性があります。また、日本オラクルは株主還元を重視しており、前期には期末配当190円を実施しました。
EPSの安定性+配当政策は、長期投資家にとって大きな魅力です。
サポート収益の安定
サポート収益は +1.2%増 と小幅ながらも着実な成長を維持しました。これは既存顧客がオラクルの基幹システムを継続利用している証拠であり、景気変動に強い「ディフェンシブ要素」として評価できます。



クラウドが攻めならサポートは守りですね!



その通り。収益のポートフォリオが「攻守のバランス」を取れていることは、日本オラクルの強みだよ。
課題・懸念点|競争とコスト増のプレッシャー
一方で、今回の決算から見えてきた課題もあります。
1. ライセンス収益の大幅減少
前年同期比 ▲27.2% と大幅な落ち込み。これはクラウド移行を前提とした構造変化ですが、短期的には減益要因となります。ライセンス依存から脱却できるかが今後の焦点です。



クラウドに移行してるから仕方ないとはいえ、見た目の数字はインパクトありますね。



そうだね。市場は「表面的な減少」に敏感だから、説明力が問われる部分だよ。
2. クラウド競争の激化
AWS、Microsoft Azure、Google Cloudといった巨人たちとの競争は依然として厳しい状況です。オラクルはデータベースとの親和性で優位を保っていますが、差別化を明確に打ち出さないと価格競争に巻き込まれるリスクがあります。
3. コスト増加
OCIの拡張、人材採用、AI関連投資などにより、コストは確実に増加しています。営業利益が減少した背景にはこれらの要素が大きく影響しています。成長投資であるとはいえ、効率的に収益化できるかが課題です。
4. 為替の影響
日本オラクルは米国本社の影響を強く受けるため、為替変動による利益のブレが発生します。円安は売上押し上げ要因になる一方、輸入コストや社内経費に響く面もあり、今後も注視が必要です。
5. 国内市場の限界
日本市場はすでに多くの大企業がオラクル製品を導入しているため、新規開拓余地が限られています。今後は中堅企業や海外市場にどれだけ展開できるかが鍵になります。



教授、国内はもう飽和状態なんですね。



そう。だからこそ海外や新領域への展開が重要になってくるんだ。
- 良かった点
- クラウドが+37.2%成長で強力なドライバー
- EPSは安定的に推移、株主還元姿勢も継続
- サポート収益が安定して全体を下支え
- 自己資本比率が改善し財務が健全化
- 課題・懸念点
- ライセンス収益▲27.2%と大幅減少
- クラウド市場での競争激化(AWS・Azure・GCP)
- 成長投資によるコスト増加
- 為替リスク、国内市場の飽和感



これって「攻めはクラウド、守りはサポート。でもライセンス減少と競争激化が足を引っ張る」ってことですね。



その通り!つまり「未来の成長と現在の課題が交錯している」のが今の日本オラクルなんだよ。
通期見通しと注目点|成長の持続可能性は?
日本オラクルは2026年5月期通期について、売上高や利益のレンジ予想を据え置きました。大きな上方修正はなかったものの、クラウド事業の好調さや財務体質の改善を背景に、投資家が注目すべきポイントはいくつもあります。
通期予想(2026年5月期)
- 売上高:6〜10%増を見込む
- EPS:490〜505円を維持
- 配当:前期は期末190円(特別配当込み)。今期は未定



教授、通期はあまり強気な数字じゃないですね。



そうだね。ただ保守的に見積もっているとも言える。クラウドがこのペースで伸びれば、実際には上振れの可能性もあるよ。
注目点① クラウド事業のさらなる拡大
OCIを中心としたクラウドサービスは、国内外での導入案件が加速しています。特に日本国内では、金融業界や製造業の基幹システムをクラウドに移行する動きが広がっており、今後も高成長が期待されます。
- 東京・大阪のデータセンター稼働率は高水準
- AI・機械学習案件で新規需要を獲得
- クラウド移行の長期契約による収益安定化



AWSやAzureと比べるとシェアは小さいのに、どうして伸びてるんですか?



オラクルの強みは「既存DB顧客の囲い込み」だ。企業がこれまで使ってきたオラクルDBをそのままクラウドに持っていけるから、移行のハードルが低いんだよ。
注目点② AI・データ活用との親和性
今回の決算説明でも強調されていたのが、生成AIやデータ分析との連携です。オラクルのデータベースはAI活用の基盤になりやすく、クラウドと合わせて導入する企業が増えています。
- AI学習データの保存・解析基盤として採用が進む
- 米国本社の生成AI戦略と連動したサービス拡充
- AI活用を検討する国内企業にとっての「第一候補」



最近はAIがブームですけど、日本オラクルもその流れに乗れているんですね



そう。むしろ「AIの土台を作る企業」として強みを発揮しているんだ。
注目点③ 財務健全性の強化
自己資本比率が前年同期の48.5%から51.8%へ改善したことは、通期を通じても安心材料です。投資余力が増したことで、今後の設備投資や株主還元の余地が広がります。
ただし、今期の配当については「未定」としており、前期のような特別配当が続くかどうかは不透明です。
注目点④ 海外展開とパートナーシップ
国内市場はすでに成熟しているため、今後は海外展開や他社とのパートナーシップが成長のカギを握ります。特に米国本社との連携や、グローバルでのデータセンター展開は中長期的に注目すべき材料です。
- 売上高は6〜10%増、EPS490〜505円を維持
- クラウド事業の高成長が続く見込み
- AI・データ分析との親和性が強み
- 自己資本比率改善で財務健全性が向上
- 配当は未定だが、株主還元の可能性は残る



教授、つまり「通期予想は堅実だけど、クラウドとAI次第で上振れも期待できる」ってことですね。



その通り!投資家にとっては「数字以上に中身を見る」ことが大切なんだ。クラウドとAIの成長をどう評価するかが、オラクル投資のポイントになるよ。
まとめ|クラウドの波に乗る日本オラクルの行方
今回の2026年5月期第1四半期決算を振り返ると、日本オラクルの姿勢は一貫して「クラウドへのシフト」と「財務健全性の強化」にありました。
売上高は 662億75百万円(前年同期比+3.7%) と増収を達成し、クラウド事業は +37.2% という驚異的な伸びを見せました。一方で、営業利益は前年同期比▲4.8%、純利益も▲3.7%と減益となっています。これは前年のライセンス駆け込み需要の反動や投資コスト増が原因であり、短期的にはネガティブに映るかもしれません。
しかし、中長期的な視点で見ると「収益モデルの進化」「安定収益源の確保」「財務体質の強化」という3つの柱がはっきりと見えてきます。
成長の柱:クラウド事業の拡大
クラウドサービスは、単発的なライセンス収益とは異なり、サブスクリプション型で積み上がるモデルです。これにより長期的な収益の安定が見込めることから、日本オラクルにとって最大の成長ドライバーとなっています。特にOCI(Oracle Cloud Infrastructure)の利用拡大や、生成AIとの連携需要は、今後の成長シナリオを支える重要な要素となるでしょう。
安定の柱:サポートとサービス
派手さはないものの、サポート収益は前年同期比+1.2%、サービス事業も+6.9%と堅実に伸びています。これらはクラウドやライセンスの変動を緩和する安定収益源であり、全体の収益基盤を支える存在です。
財務の柱:自己資本比率の改善
前年同期の48.5%から今期は51.8%へと大幅に改善した自己資本比率は、日本オラクルが利益剰余金を積み上げ、株主還元を行いながらも財務健全性を高めている証拠です。これは投資家にとって「安心して長期保有できる」重要な材料です。
投資家への示唆
投資家視点でのポイントを整理すると:
- 短期的には「減益」に警戒する向きもある
- しかしクラウドの成長と財務改善は将来性を示す
- 通期予想は据え置きだが、クラウド次第で上振れの可能性あり
- 配当は未定だが、前期の190円実績を考えれば還元姿勢は維持
つまり、現時点での投資判断は「短期的な減益に一喜一憂せず、クラウド成長を見極める」ことが重要だといえます。



教授、結局この決算は「良い」のか「悪い」のか、どう判断すればいいんでしょう?



一言で言えば「見た目は悪いが中身は良い」だね。売上は伸び、クラウドは絶好調。利益は減ったけど、それは未来のための投資だから心配しすぎなくていい。



なるほど。クラウドが伸びて、財務も改善。短期の減益は「筋トレの疲労」みたいなものですね!



上手い表現だね。筋トレで筋肉痛になっても、将来は強い体になる。それと同じで、今の減益は将来の筋力アップ、つまり収益力強化につながるんだよ。



じゃあ今の日本オラクルは「クラウド筋トレ中」ってことですね(笑)



そういうことだ。投資家としては、この筋トレがどれだけ成果を出すかを楽しみに見守ればいいんだよ。



先生、クラウドって空に浮かぶ雲のことかと思ってましたけど、筋トレまで連想するなんて、さすが投資の世界は奥が深いですね!



ふふ、次は「雲の上の利益」を目指して、日本オラクルがどこまで伸びるか注目していこう。