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株と決算のおしゃべり日記
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キユーピー 2025年11月期 第3四半期決算|純利益31%増・海外好調で堅調推移

キユーピー2025年11月期第3四半期決算まとめ

「マヨネーズと株価、どちらもとろける?」

今日はキユーピーの決算を見ていこうか。

キユーピーといえばマヨネーズですよね!でも決算って、マヨネーズとどう関係があるんですか?

面白い質問だね。実は企業の決算って、その会社がどんな商品をどのくらい売って、どんな利益を出したかをまとめた「成績表」なんだ。だからマヨネーズを作る会社も、利益や売上を投資家にきちんと見せている。

へぇ、マヨネーズの売れ行きだけじゃなくて、海外のビジネスとか他の商品も含めて決算に出てくるんですね!

その通り。実際に今回のキユーピーの決算では、マヨネーズだけじゃなくて野菜や調味料、さらに海外事業がどうだったかもしっかり数字で出ているんだよ。

なんだかキユーピーって、台所のイメージが強いけど、海外展開まで考えるとすごく大きな会社に見えてきました!

そうなんだ。日本の食卓に欠かせない存在でありながら、海外でも成長している。今回はその実態を数字とともに見ていこう。

目次

キユーピー第3四半期決算の概要

キユーピー株式会社は2025年11月期第3四半期(2025年9月2日発表)の連結決算を公表しました。売上高は 3,834億円(前年同期比+6.2%) と堅調に増収。海外事業や業務用製品が好調で、幅広い事業で成長が見られました。

一方で、営業利益は 270億円(前年同期比-9.2%) と減益。主因は原材料価格の高止まり、とくに鶏卵の仕入れ価格が依然として高水準にあり、製造コストを押し上げたためです。

ただし純利益では大きな伸びを見せました。特別利益として工場跡地の売却益が加わったことから、 260億円(前年同期比+31.9%) と大幅増益。EPSも 187.90円 と前年同期の142.13円から大きく改善しました。

財務面も健全で、自己資本比率は 66.1% と高水準を維持しています。これは、食品業界の中でも非常に安定感のある数字で、投資家にとって安心材料です。

また、株主還元の面では年間配当を 64円(うち記念配当10円を含む) とする予定を据え置き。ちょうどキユーピーが創業100周年を迎える節目であり、記念配当を通じて株主への感謝を表している形です。

今回の決算のポイントをまとめると以下の通りです。

  • 売上高は堅調に増収(海外・業務用が好調)
  • 営業利益は原材料高で減益
  • 特別利益により純利益は大幅増
  • 自己資本比率は66.1%と安定
  • 配当は年間64円(記念配当含む)を維持

どうだい?マヨネーズで有名なキユーピーも、実際は世界中で野菜や調味料を展開しているグローバル企業なんだ。

ほんとだ!マヨネーズだけじゃなくて、海外や業務用がしっかり支えてるんですね。投資家から見ても安心感があります!

そうだね。今回は「国内での苦戦」と「海外や特別利益での挽回」という両方の側面が見えた決算だったよ。次は、具体的に主要数値やセグメント別の動きを詳しく見ていこう。

決算ハイライト|主要数値と前年比較

キユーピーの2025年11月期第3四半期累計(9か月)の主要数値は以下の通りです。

単位:百万円

項目FY2022 Q3FY2023 Q3FY2024 Q3FY2025 Q3
売上高 318,214335,897360,911383,424
営業利益 21,40713,34129,81527,062
経常利益 22,94515,08332,18229,218
四半期純利益 14,54111,08119,75626,055
EPS (円)104.6179.72142.13187.9
自己資本比率 (%)6665.565.666.1

売上高:堅調な増収

売上高は前年同期比6.2%増の 3,834億円。海外市場を中心に着実に拡大しました。市販用製品だけでなく業務用の調味料やカット野菜が伸びたことが大きく寄与しています。

売上はしっかり伸びてるんですね。食品業界って人口減少で厳しいって聞くのに。

確かに国内の人口動態は逆風だけど、キユーピーは海外展開で成長を補っている。特にアジア圏や北米市場での「お〜いお茶」ならぬ「お〜いマヨネーズ」戦略が効いているんだ。

営業利益:コスト高が直撃

営業利益は前年同期比9.2%減の 270億円。主因は原材料価格の高止まりです。鶏卵は依然として高値が続き、物流費の上昇も加わりました。

営業利益の減少は「本業の稼ぐ力」が圧迫されている証拠だね。

じゃあちょっと心配です…。

ただし、売上が堅調だから「利益を削ってでもシェアを守る」という戦略的判断とも読める。単純に悪いわけではないんだ。

純利益:特別利益で大幅増

純利益は前年同期比31.9%増の 260億円。大きな要因は工場跡地売却益による特別利益です。

なるほど、臨時収入があったんですね!

そう。だから「一時的に大きく伸びた」側面が強い。ただしEPSが改善している点は株主にとってポジティブ材料だよ。

自己資本比率:66%台の安定感

自己資本比率は 66.1%。前年同期の65.4%から0.7ポイント改善しました。食品メーカーとしては非常に高水準で、財務の安定性を示しています。

自己資本比率って、DCMやオラクルの記事でも出てきましたよね。

うだね。食品メーカーでここまで高い比率を維持しているのは安心感につながるよ。

セグメント別業績の動向

キユーピーは事業をいくつかのセグメントに分けて収益を管理しています。それぞれの動向を確認しましょう。

単位:百万円

スクロールできます
セグメント売上高営業利益
年度FY2022 Q3FY2023 Q3FY2024 Q3FY2025 Q3FY2022 Q3FY2023 Q3FY2024 Q3FY2025 Q3
市販用130,480132,308140,597143,97611,0177,32712,6349,777
業務用116,101122,038125,772136,9955,6352,3969,9098,209
海外47,43755,37267,86473,5676,7547,01511,08511,070
フルーツ ソリューション12,53713,13213,19113,393318417275633
ファインケミカル7,6218,4208,5958,9731,151555344412
共通4,0354,6254,8906,5179678939711,116

市販用事業

売上高は 1439億円(+2.4%)、営業利益は 97億円(-22.6%)
マヨネーズやドレッシングに加え、カット野菜や健康志向の商品が伸びました。ただし原材料費の上昇により大幅減益となりました。

市販用は消費者の健康志向に合致して商品は伸びている。でも卵の価格上昇は痛いね。

スーパーで卵高いなぁって思ってたけど、企業にも影響大きいんですね。

業務用事業

売上高は 1369億円(+8.9%)、営業利益は 82億円(-17.2%)
外食需要の回復や卵商品の販売増で増収。ただし鶏卵高騰で減益。

外食産業向け需要が戻ってきたのは追い風。でも卵価格の上昇がここでも利益を削ってしまった。

マヨネーズや卵の値段って、家だけじゃなくてレストラン経営にも直撃するんですね。

海外事業

売上高は 735億円(+8.4%)、営業利益は 110億円(+13.5%)
アジアや米州を中心に好調。現地生産体制の効率化も寄与しました。

海外は二桁近い成長を続けている。日本の人口減少をカバーする成長エンジンになっているんだ。

キユーピーって海外でも人気あるんですね!

フルーツソリューション事業

売上高は 134億円(+1.5%)、営業利益は 6億円(+130.2%)
ジャムや産業用フルーツ製品が堅調。収益性改善が進みました。

ここは意外と利益率が改善してるんですね。

小規模な事業でも利益貢献度が高まっている点は好印象だよ。

ファインケミカル事業

売上高は 89億円(+4.4%)、営業利益は 4億円(+19.8%)
医薬原料は減少しましたが、通販事業が好調に推移しました。


共通

売上高は 65億円(+33.3%)、営業利益は 11億円(+14.9%)
規模は小さいながらも着実に伸びています。

ここまでのまとめ
  • 市販用・業務用は売上堅調もコスト高で減益
  • 海外は二桁成長で収益も改善
  • フルーツやファインケミカルなど小規模事業も成長
  • 多角化による収益構造の分散が進む

つまり、卵価格の高止まりで国内利益は苦戦。でも海外と新規分野がしっかり伸びて、全体を支えているんだ。

なるほど、マヨネーズに頼らず幅広くビジネスを展開してるってことですね!

好調だった分野と要因

今回のキユーピーの決算では、特に 海外事業フルーツソリューション事業 が目を引きました。国内の卵価格高騰に苦しむ一方で、海外や新規分野がしっかりと成長をけん引しているのが特徴です。


海外事業の成長

海外事業は売上高735億円(前年同期比+8.4%)、営業利益110億円(同+13.5%)と好調でした。

  • アジア市場:中国を中心に日本式サラダ文化が浸透。「マヨネーズ」や「ドレッシング」に加え、現地の食文化に合わせた商品も展開。
  • 米州市場:アメリカでは健康志向や日本食ブームを背景に「アボカド×マヨ」などの新商品が人気。
  • 効率化効果:現地工場の稼働率向上、物流網改善などが収益性を押し上げた。

日本の食文化がそのまま海外に受け入れられるわけではない。だから現地に合わせた商品開発を進めているのがポイントなんだ。

なるほど、ただ「日本の味」を押し付けるんじゃなくて「アジアの好みに合わせたマヨネーズ」なんですね!

フルーツソリューション事業

売上高134億円(+1.5%)、営業利益6億円(+130.2%)と大幅に改善しました。

  • ジャム製品:家庭用需要が安定的に推移。
  • 産業用フルーツ製品:飲料メーカーやデザート業界への提供が増加。
  • コスト効率化:生産体制の見直しで利益率が改善。

この事業は小さいけど、利益の伸びがすごいですね!

そうだね。実際の売上規模は本体の数%にすぎないけれど、収益力の改善が進んでいることは今後の多角化戦略の布石になるんだよ。

ファインケミカル事業

こちらも売上高89億円(+4.4%)、営業利益4億円(+19.8%)と堅調。医薬原料の需要がやや減少したものの、通販事業が好調でカバーしました。

食品メーカーの枠を超えて、健康や美容の分野に事業を広げているのも強みだね。

マヨネーズの会社って思ってたけど、すごく幅広いんですね!

課題と懸念点|コスト上昇と競争環境

好調な分野がある一方で、キユーピーの決算には見逃せない課題も浮き彫りになりました。とくに コスト上昇競争環境 は投資家にとって注意すべきポイントです。


鶏卵価格の高止まり

営業利益減少の最大要因は鶏卵価格です。キユーピーの看板商品であるマヨネーズや卵加工品は、原料価格の影響を強く受けます。

  • 鶏卵は2024年から続く供給制約により高止まり。
  • 円安の影響も加わり、輸入原材料コストも上昇。
  • 結果として市販用・業務用の両方で利益が圧迫。

卵は生活必需品だから価格転嫁もしづらい。これが食品メーカーの難しいところだよ。

たしかに、スーパーでマヨネーズが急に高くなったら買い控えしちゃいます…。

物流費・人件費の上昇

食品業界全般で課題となっている物流費や人件費の上昇も響いています。とくに人手不足を背景にした労務コストは今後も高止まりが予想されます。


市場競争の激化

国内市場では人口減少に伴う需要の頭打ちが避けられません。その中で競合メーカーとの価格競争が激しくなり、値上げだけでは利益改善が難しい状況です。

国内では厳しい戦いなんですね…。

だからこそ海外展開や新規分野での成長が重要なんだ。

特別利益への依存

今回の純利益増加は、工場跡地売却益という一時的な要因に支えられた側面が大きいです。これを除けば営業利益は減少しており、実質的な稼ぐ力は課題を残しています。

ここまでのまとめ
  • 海外事業 は成長の柱。現地対応型の商品戦略が奏功。
  • フルーツソリューション・ファインケミカル など新分野も収益改善に貢献。
  • 一方で 鶏卵価格の高止まり物流費・人件費増競争激化 が営業利益を圧迫。
  • 純利益増は特別利益の影響が大きく、本業の収益力改善が次の課題。

つまり今回の決算は「海外と新規分野で攻め、国内コスト増で守りが弱い」という内容だね。

マヨネーズ1本の裏に、こんなに多くの要素があるなんてびっくりしました!

通期見通しと注目ポイント

キユーピーは今回の決算発表で、2025年11月期通期の業績予想を据え置きました。つまり、上期・第3四半期までの進捗を踏まえても、当初計画の達成が可能と判断したということです。


通期業績予想(2025年11月期)

  • 売上高:5,120億円
  • 営業利益:345億円
  • 経常利益:366億円
  • 当期純利益:292億円
  • 年間配当:64円(うち記念配当10円)

注目すべきポイント①:海外市場のさらなる拡大

海外事業は今回の四半期でも二桁近い増収を実現しました。特に 中国・東南アジア市場 における「野菜+調味料」戦略が浸透しており、日本発のサラダ文化が広がっています。

また米国市場では、健康志向やプラントベース需要の高まりに合わせた商品がヒット。マヨネーズの代替品や低カロリー調味料が受け入れられており、今後も堅調な成長が期待されます。

注目すべきポイント②:コスト高の行方

国内では依然として鶏卵価格が高止まりしています。世界的な需給の不安定さに加え、物流費・人件費の上昇も重なり、利益率改善は容易ではありません。

キユーピーはこれに対応するため、価格改定効率化投資 を同時に進めています。たとえば、生産ラインの自動化や物流網の合理化です。これらがどの程度利益改善に寄与するかが注目点です。


注目すべきポイント③:記念配当と株主還元

創業100周年を記念して10円の記念配当を含む年間64円を予定しています。食品業界全体で株主還元意識が高まる中、安定配当方針は投資家に安心感を与えます。

配当を維持するということは、キャッシュフローに自信がある証拠でもある。

記念配当って特別感があってうれしいですよね。株主にとっては「お祝いを一緒にできる」みたいな気分です。

注目すべきポイント④:新商品の投入

今後は カット野菜調味料の新シリーズ、さらに海外市場向けのヘルシー商品などが投入予定。国内の低成長を補う新しい収益源として期待されています。


8. 投資家視点からの評価

今回のキユーピー第3四半期決算は、表面的には「売上増収、営業利益減益、純利益大幅増」というややアンバランスな数字が並びました。しかし投資家が読み解くべきポイントは、事業ポートフォリオの広がり安定感にあります。


強み①:多角化によるリスク分散

  • 市販用・業務用・海外・フルーツ・ファインケミカルと複数の事業を持つことで、卵価格や原材料費に依存しすぎない構造を築きつつある。
  • 特に海外事業は日本市場の縮小を補う存在になっている。

強み②:高い自己資本比率

自己資本比率66.1%は食品業界の中でもトップクラス。財務健全性が高いため、不況期やコスト高局面でも持ちこたえる余力があると評価できます。


強み③:ブランド力と商品力

「キユーピーマヨネーズ」という強力なブランドは国内外で認知度が高く、競合に対して優位性を維持。さらに健康志向やサステナビリティに配慮した新商品展開で、ブランド価値を強化しています。

課題①:原材料コスト依存

卵価格の変動は避けられないリスク要因。長期的には代替原料や新しい調達ルートの開拓が必要になるでしょう。


課題②:国内市場の縮小

日本の人口減少により、市販用・業務用ともに国内需要は大きく伸びません。これを海外でどこまで補えるかがカギとなります。


株価と投資判断

株価は直近、海外事業の好調や特別利益の寄与を背景に上昇基調ですが、過去の高値(2020年の8,590円)にはまだ遠い水準にあります。

投資家にとっての注目ポイントは以下の通りです。

  • 短期:コスト高をどの程度吸収できるか。
  • 中期:海外市場での成長を継続できるか。
  • 長期:多角化戦略によって安定的な成長を実現できるか。

投資家から見ると「国内は守り、海外で攻め」という姿勢が評価の分かれ目になるだろうね。

なるほど、マヨネーズの裏にこんな投資ストーリーが隠れてるなんて面白いです!

まとめ|「マヨネーズ100周年と株主還元」

キユーピーの2025年11月期第3四半期決算は、まさに「一喜一憂」の内容でした。売上高は前年同期比+6.2%としっかり増収し、海外事業を中心に順調に拡大。とくにアジアや米州でのブランド浸透と新商品投入が効果を上げ、国内の人口減少を補う大きな柱となっています。

一方で、原材料価格の高止まり、とりわけ鶏卵の仕入れコストは依然として大きな負担です。国内市販用・業務用の利益率が低下したのは無視できない課題でしょう。とはいえ、物流網や生産効率の改善といった地道な取り組みを進めており、中期的には改善の余地があります。

今回の決算で特に印象的だったのは、特別利益による純利益の大幅増です。工場跡地売却益によってEPSが大きく改善し、株主還元への安心感につながりました。ただし、こうした一時的な要素に頼らず、本業でしっかりと利益を積み上げられるかが次の課題です。

財務健全性は非常に高く、自己資本比率66.1%は食品業界でも上位水準。さらに、創業100周年を記念した記念配当を含めた年間64円の配当は、株主にとって「お祝いケーキ」にも似た特別なプレゼントです。株主還元の姿勢が明確であることは、長期投資家にとって大きな安心材料になるでしょう。

投資家視点で見ると、キユーピーは「国内市場の課題」と「海外市場での成長余地」の両面を抱えています。短期的には卵価格や物流費の行方、中期的には海外展開の加速、長期的には多角化戦略の成果が評価の分かれ目となるでしょう。

教授、もし株主優待でマヨネーズ1年分とかもらえたらうれしいですよね!

ははは、それはキユーピーらしいけど冷蔵庫が大変なことになるな。毎朝パンにマヨ、サラダにマヨ、気づいたらマヨ星人になってしまうよ。

マヨ星人!でも実際、それくらい日本人の食卓に根付いてるってことですよね。

その通り。マヨネーズのように、とろっと広がるようにキユーピーの海外事業も広がっていくといいね。

じゃあ次の決算では「マヨ株価もとろける」って言えるくらい、利益が伸びてるといいな!

いいフレーズだね。株価もマヨネーズみたいにスムーズに伸びてくれることを期待しようか。

次の決算も楽しみです!

免責事項
本記事に記載された数値は決算短信や関連資料をもとにしていますが、四捨五入や単位換算により実際の公式発表値と若干異なる場合があります。
また、株式投資に関する見解はあくまで筆者の個人的な意見であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は読者ご自身の責任において行ってください。

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