PBRとは？割安株を見抜く「株価純資産倍率」の見方をやさしく解説

お、いいところに目をつけたね。
PERが“利益”に対して株価が高いか安いかを見る指標だっただろう？
それに対してPBRは、“資産”に対して株価が高いか安いかを見るんだ。

まさにその通り！
PERが「収益力の評価」なら、PBRは「企業の地力、体力の評価」だ。
この2つをあわせて見ると、企業の“今”と“本来の価値”の両方が見えてくるんだよ。

うん、基本的にはそうだね。
でも、単純に「1倍以下＝お買い得！」とは言えない。
なぜ1倍を下回っているのか？ その“理由”を読み取ることが重要なんだ。

その通り。PBRは数字だけじゃなく、企業がどんな評価を受けているかを映す鏡なんだ。
今日のテーマはその鏡の見方をマスターすることだね。

わかりやすく言うとね、PBRが「1倍を下回る」というのは、
市場が“その企業の資産価値をフルに評価していない”ということ。
たとえば、純資産が1,000円あるのに株価が800円なら、PBRは0.8倍。
つまり、「800円で1,000円分の価値を買える」状態なんだ。

一見そう思うよね。
でも実際には、企業の資産が有効に活用されていないとか、
成長の見通しが乏しいなど、“理由ありの割安”かもしれない。

そう。PBRを見るときは、「なぜ1倍を下回っているのか」を考えることが本質なんだ。

言ってみれば、企業が解散したときに残る“株主の取り分”だ。
だから、PBRは「1株あたり、どれだけの資産を持っているか」を示す指標なんだよ。

うん。たとえば、たくさんの土地や現金を持っていても、
それをうまく活かせていない企業はPBRが下がる傾向がある。
逆に、資産が少なくても利益をしっかり出している企業はPBRが高くなりやすい。

たしかに理論上はそうなんだけど、
投資の世界では“1倍割れ株＝お宝株”とは限らない。
なぜなら、市場が「この会社は資産を活かせていない」と判断しているケースもあるからだ。

そうだね。
たとえば、眠ったままの土地や使っていない設備が多い企業は、
いくら資産が多くても“利益を生まない資産”として低く評価されてしまう。
PBRはまさに、「資産をどれだけ効率的に使えているか」を見る指標でもあるんだ。

PERは“稼ぐ力”を評価するのに対し、PBRは“持っている力”を評価する。
この2つを組み合わせると、企業の実力がより立体的に見えるんだ。

それは「安いけど人気がない企業」だね。
逆に、PERが高くてもPBRも高い企業は「期待されている成長株」。
どちらが良い悪いではなく、“投資スタイル”によって見るポイントが変わるんだ。

だから、最近は多くの企業が自社株買いやROE改善に力を入れている。
PBRを上げることが、企業価値を高める“課題”になっているんだ。

その通り。
だから投資家にとっては、PBR1倍割れの企業をチェックすることは、
「変化のチャンスを探す」ことでもあるんだ。

うん、そう思うのも自然だね。
ただね、実際の投資の世界では「1倍割れ株＝お宝株」とは限らないんだ。
“安い理由”があるケースがほとんどだからね。

たとえば、売上が毎年少しずつ減っていたり、
新しい事業が育たずに現状維持が続いている企業は、
「資産はあるけど、この先は伸びない」と判断されやすい。

そう。投資家は「未来の利益を買う」生き物だからね。
このため、成熟産業や地方中心の企業などは、
PBRが0.7倍、0.6倍と低くなる傾向があるんだ。

その通り。
会計上は資産として計上されていても、
市場から見れば「実際にはそんな価値ないでしょ？」と冷めた目で見られる。
その結果、PBRが下がってしまう。

東京証券取引所が最近PBR1倍割れの企業に「資本効率を高める取り組みを」と促しているのも、
まさにこのためなんだ。

いい質問だね。たとえば──

これらの企業は決して悪い会社じゃない。
むしろ日本経済を支えている“優良企業”だ。
でも、市場が「成長スピードが鈍い」と感じているため、
株価が資産価値に追いついていないんだ。

そう。そして、それこそが“投資家にとってのチャンス”でもある。
市場が過小評価しているうちに買って、改善したときに評価されれば、
株価は一気に上がることもあるんだ。

たとえば三菱商事。かつてPBRは1倍を切っていたけれど、
事業ポートフォリオを見直し、資本効率を改善した結果、
いまではPBR1.5倍近くまで上昇している。

まさにそれだ。
投資家にとってPBR1倍割れ企業は、“放置株”ではなく“再生株候補”とも言える。
経営陣の戦略転換や新しい事業が芽吹けば、株価は資産価値を上回っていく可能性がある。

この3つを見れば、“安いだけの株”か“化ける株”かが見分けられる。

PBRを使って割安株を見つけるときは、
「低い＝買い」と単純に考えないこと。
3つの視点で“なぜ低いのか”を掘り下げていくのがコツなんだ。

たとえばメガバンクがPBR0.6倍なら平均的だけど、
IT企業が0.6倍なら“深刻な低評価”を意味する。

その通り。
「業界平均より明らかに低いのに業績が安定している」企業は、
再評価のチャンスを秘めているかもしれない。

PBRとROEには“切っても切れない関係”がある。
なぜなら、ROEが高いほど投資家はその企業を高く評価し、PBRも上がる傾向があるからだ。

だからPBRを見るときは、ROEとセットで考えるのが鉄則。
たとえば、ROEが10％を超えていてPBRが1倍を下回っている企業は、
「利益効率が高いのに評価が低い＝見直し余地あり」と判断できるケースが多い。

まさにその通り。投資家の世界では、そういう企業が“隠れた優良株”と呼ばれるんだ。

たとえば、自己資本比率が高いのにPBRが低い場合、
「健全な財務体質なのに市場で過小評価されている」可能性がある。
逆に、自己資本比率が低くPBRが高い企業は、
「借金で成長している」ケースも多い。

PBRは、ROEや自己資本比率と組み合わせてこそ真価を発揮する。
数字をつなげて見ることで、企業の本当の姿が浮かび上がるんだ。

その通り。
PBRの“P（株価）”も“B（純資産）”も、変化し続ける数字だ。
どちらか一方だけを見ても、正しい投資判断はできない。

たとえば、大量の土地や設備を保有している企業があったとしても、
それが利益を生み出していなければ投資家は評価しない。
「宝の持ち腐れ」になっている場合、PBRはどうしても低くなる。

そうなんだ。
逆に、資産を積極的に活用して利益を生み出している企業は、
PBRが1倍を超えても「割高ではなく、実力相応」と見られる。

いいところに気づいたね。
たとえば、土地の評価額は購入時点の簿価（帳簿価格）で計上されている。
だからバブル期に買った土地をそのまま計上していれば、
今の時価とはまるで違うこともあるんだ。

また、PBRが高い企業にも注意が必要だ。
成長期待が過剰に織り込まれているケースでは、
少しでも業績が鈍化しただけで株価が急落するリスクがある。

成長企業ほどPERもPBRも高くなるけど、
期待が先行しすぎていると、実績が追いつかない。
いわば“熱すぎる株”。
PERと同じで、PBRも「熱すぎず冷たすぎず」が理想なんだ。

まさにその通り。
数字を“静的に”見るのではなく、
「この企業が資産をどう動かし、利益を生み出しているか」を考える。
それが本当の“ファンダメンタル分析”だよ。

うまい例えだね（笑）。
数字の奥にある企業の“呼吸”を感じ取れるようになると、
投資の判断は一段深くなるよ。

そうだね。
PERが「会社の今の稼ぐ力」を見るものなら、
PBRは「会社の体力、基礎体盤の強さ」を見る指標だ。
どんなに利益が上がっていても、資産構造が不安定なら長期的には危うい。

たとえば以前はPBR0.7倍だった商社や製造業の多くが、
自社株買いや経営改革を進めたことで1倍を超えてきている。
“地味な企業”ほど、変化すれば大化けすることがあるんだよ。

その言い方、いいね。まさに“冬眠中の株”。
でも冬が明けて動き出したら、春に一気に花開くこともある。

単に安いだけの“低迷株”に手を出すのではなく、
「まだ光が当たっていない優良株」を探すのが投資の醍醐味だね。

たとえば、IT企業やサービス業のように“人”や“知識”が資産の会社は、
貸借対照表にその価値がほとんど載らない。
だからPBRが高くても、それは“資産が少ないから”という構造的な理由なんだ。

そう。だからPBRを見るときは、「何が資産として計上されているのか」も意識すること。
数値だけを追うと、見えない価値を見落としてしまう。

投資家は、資産そのものよりも“その資産をどう活かすか”に期待して株を買う。
PBRが高い企業は、資産を活かして成長できるという信頼を得ている証拠なんだ。
逆に、PBRが低い企業はまだ市場に信頼されていない。
でも、それは「信頼を取り戻せば株価が動く」余地があるということだ。

その通り！企業の信頼度を数値化したようなものだよ。
だから投資家は、PBR1倍割れ企業の中から、
“信頼を取り戻す力がある会社”を探すべきなんだ。

そうだね。PBRは、企業の過去・現在・未来をつなぐ数字。
1倍を下回っている企業を見て「安い」か「眠ってる」か、
その違いを見極めることが投資家の腕の見せどころなんだ。

うん、それが正しい姿勢だよ。
投資の世界では、“掘り出し物”は見つけるものじゃなく、
“見抜く”ものだからね。

（笑）いいね。
ただし、投資判断は自己責任で。
数字はヒントをくれるけれど、最後に決めるのは自分自身だからね。