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株と決算のおしゃべり日記
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投資とメンタルの関係|「株価に一喜一憂しない投資家」になるための心理術

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株価に一喜一憂しない

「また株価を見すぎて疲れました…」

教授…またやってしまいました。
昨日から株価アプリを10回以上開いて、全然集中できません。

あぁ、それは“投資家あるある”だね。
株価を気にしすぎると、心がチャートみたいに上下する。
まるで自分の人生が株価で決まってるような錯覚に陥るんだ。

まさにそれです…!
ちょっと上がるとテンション上がって、
下がると「もうダメだ」って思っちゃいます。
この前の記事で「株価に一喜一憂しない3つの習慣」を読んで、
スマホチェックを減らす努力をしてたんですけど、
やっぱり気になっちゃって…。

うん、習慣を意識できてるのは素晴らしい。
ただ、「習慣」だけではメンタルの揺れまでは完全に防げないんだ。
投資にはもう一つ、“感情の波を理解する力”が必要なんだよ。

感情の波を理解する力…?

そう。投資って、数字の世界に見えて、
実は“感情の世界”なんだ。
だから今日は、君がもう一歩上のステージに行くための話をしよう。
“感情を抑える”じゃなく、“感情を味方につける”投資の心理学だ。

目次

投資とメンタルの関係|“感情”は投資家最大の敵でも味方でもある

投資の世界で最も恐ろしい敵は、
相場の暴落でも、他人の発言でもなく──自分の感情です。

人間の脳は、危険を察知すると「逃げろ!」という命令を出すようにできています。
これがいわゆる損失回避バイアス
たとえ利益を得る喜びよりも、損をした痛みのほうが2倍以上強く感じるという心理的傾向があるんです。

たとえば、1万円儲かったときの嬉しさより、
1万円損したときのショックのほうが大きいと感じるだろう?

たしかに…損すると、寝る前まで引きずりますね。

そう、それが人間らしさだ。
でも、投資家にとっては“冷静さを奪う危険信号”でもある。
だからこそ感情を排除するんじゃなく、
「今、脳がどう反応しているか」を理解することが第一歩なんだ。

感情の正体は「防衛反応」

人は投資をすると、自分のお金だけでなく“自分の価値”まで市場にさらしているように感じてしまいます。
「損=失敗」「上手くいかない=自分がダメ」と結びつけてしまう。

これは心理学的にいうと自己評価防衛メカニズムと呼ばれます。
つまり、投資の損失が“自尊心へのダメージ”になるんです。

SNSで他人の利益報告を見て焦るのも同じ構造だよ。
「他人が勝ってる=自分が遅れてる」って、無意識に感じてしまう。

うわぁ…まさにそれです。
Xやインスタで「100万円利益出ました!」とか見ると、
“私も何か買わなきゃ!”って焦っちゃうんです。

そう、それが“投資FOMO(Fear of Missing Out:取り残される恐怖)”だね。
行動経済学では、FOMOが判断を狂わせる要因の一つとされている。
冷静な戦略よりも、「今買わなきゃ損する」という感情が優先されてしまう。

感情をなくすことはできない

ここで大事なのは、「感情をなくす」のではなく、「感情に気づく」こと。
感情は敵ではなく、“注意信号”です。

たとえば、車のメーターを想像してごらん。
スピードを出しすぎると警告ランプが光るだろう?
それと同じで、感情も「今、危険な判断をしそうですよ」という
サインを出してくれているんだ。

なるほど…感情を消そうとするより、
「警報が鳴ってるな」って意識するほうが冷静になれそうですね。

むしろ感情を抑え込むと、ストレスが蓄積して、
ある日ドカンと“衝動トレード”に走ることもある。
だから感情は敵ではなく、味方に変えるものなんだ。

感情を味方にするとはどういうことか

投資で感情を味方につけるとは、“自分の心理のクセを理解し、行動ルールを設ける”ことです。

たとえば、
・下落時に焦ったら「3日間は売らない」と決める
・買う前に「最悪のシナリオ」を紙に書いておく
・SNSで他人と比較しそうになったらアプリを閉じる

こうした「感情が暴れ出す前のガードレール」を用意することで、冷静な判断を保てます。

つまり、感情を無理に抑えず、
“扱い方”を決めておくことが大事なんですね。

そうだね。
投資は「情報戦」ではなく「感情戦」でもある。
データより先に、まず自分の心を整えることが
長く投資を続けるためのいちばんの武器になるんだ。

投資でメンタルが疲れる3つの原因

さて、感情を理解することが大切だと話したけど、
まずは“なぜ投資で心が疲れるのか”を知ることが大事だね。

はい。たしかに、原因が分かれば対策もできそうです。

では代表的な3つを見ていこう。

① 株価を“自分の評価”と結びつけてしまう

株価が上がると「自分が正しかった」と感じ、下がると「自分はダメだ」と落ち込む。
この“自己同一化”こそがメンタル疲労の最大の原因です。

投資の成否は、たまたまのタイミングや外部環境に左右されることが多い。
にもかかわらず、人は“結果=自分の能力”と錯覚してしまうのです。

たとえばテストで90点を取ったとしても、
問題が簡単だったのかもしれない。
でも人は「自分がすごい」と思い込む。
逆も同じで、運が悪かっただけなのに「自分が無能」と決めつける。

…それ、まさに私です。
損が出ると「私の判断力が悪かった」と責めちゃいます。

でもね、株価は“あなたの人間性”を測るものじゃない。
それを忘れないことが、まず第一のメンタル防御だよ。

② SNSやニュースで“他人と比べる”

現代の投資家が特に苦しむのがこれです。
SNSでは「月10万円の利益!」「テンバガー達成!」などの投稿があふれています。
人間は本能的に比較をする生き物。
他人の成果を見ると、自分の結果が悪く感じてしまう。

心理学ではこれを社会的比較理論と呼びます。
他人との比較によって自尊心が上下するという人間の習性です。

SNSは「成功の切り抜き」ばかり。
でも多くの人は、損した投稿はしない。
つまり、“勝ってる人しか見えない世界”に自ら飛び込んでいるんだ。

確かに…“みんな勝ってる”と錯覚して、自分だけ取り残された気分になります。

だからこそ、他人と比べる代わりに「過去の自分」と比べること。
今日の自分が少し冷静になれていれば、それで十分成長しているんだ。

③ 投資の目的を“お金”だけにしてしまう

投資を始めた目的が「お金を増やすこと」だけだと、心が常に成果に縛られてしまいます。
上がれば安心、下がれば絶望。
この繰り返しでは長く続けられません。

投資の目的を“生活の安心”や“家族の未来”“学び”にすると、
視野がぐっと広がるんだ。

なるほど…「稼ぐ」じゃなくて「守る」とか「育てる」と考えるんですね。

そう。お金を目的から“手段”に変えた瞬間、
投資のストレスは半分になる。
これが、心をすり減らさないための第一歩だよ。

感情を整える3つの実践法

感情を完全に消すことはできませんが、「感じても、振り回されない」ためのコツはあります。
ここでは心理学的にも効果がある、3つの実践法を紹介します。

① 数字よりも「目的」を見る

投資は、数字を追うゲームではありません。
大切なのは、「何のために投資をしているのか」という目的軸を持つこと。

たとえば、
・老後資金をつくるための長期運用
・子どもの教育資金を備える
・時間を味方にした資産形成
目的を明確にすれば、短期の値動きに振り回されにくくなります。

株価を見るたびに“未来の目的”を思い出す習慣をつけるようにします!
それだけで、心の軸がぶれにくくなる気がする。

② 比較対象を「他人」ではなく「過去の自分」にする

他人と比べるほど、心はすり減ります。
だからこそ、比較対象を“自分の過去”に置き換えましょう。

たとえば、
・半年前より落ち着いて取引できた
・感情で売買しなかった日が増えた
・チャート分析の理解が深まった
それだけで立派な成長です。

たしかに、そう考えると少し気持ちが楽になります。

投資家の成長は「資産額」ではなく「判断の質」で測るんだ。
昨日より冷静になれたなら、それが最大の利益だよ。

③ 感情と行動を分けて“記録”する

最後のポイントは、「感情を記録する」ことです。
トレード日記や投資メモをつけると、自分の感情のパターンが見えてきます。

たとえば、
「下落時に焦って売って後悔した」
「連続で勝ったあと調子に乗って買いすぎた」
といった“心のクセ”を客観視できる。

心理学では、感情を言語化することをアフェクティブ・ラベリングと呼びます。
これにより、脳の興奮が鎮まり、冷静さを取り戻しやすくなるのです。

投資メモは、数字だけじゃなく“気持ち”も書くといい。
感情を紙に出すことで、頭の中のモヤモヤが整理されるんだ。

日記って子どものころの宿題みたいで面倒ですけど、
投資の整理にも役立つならやってみます!

そうだね。1日1行でもいい。
“今日の自分の心”を見つめることが、
長期的に安定した投資家への近道なんだ。

長期投資家が実践している“平常心の投資スタイル”

さて、ここまでで「感情を理解し、整える方法」は見えてきたね。
でも実際、長期で成功している投資家たちはどんなメンタルを持っていると思う?

うーん…やっぱり“冷静で動じない人”ですか?

その通り。
ただし、それは「感情がない」わけじゃない。
“感情に支配されない仕組み”を持っている人なんだ。

① グレアムに学ぶ「待つ力」

ベンジャミン・グレアムはこう言いました。

「株式市場は、短期的には人気投票の場に過ぎないが、長期的に見れば『価値』の計測器として機能する」

引用:https://media.rakuten-sec.net/articles/-/28359

彼は、株価ではなく「企業の価値」に集中します。
一時的な上げ下げに反応せず、10年後にその企業がどう成長しているかを考えます。

つまり、彼の投資スタイルは“感情を遅らせる”こと。
すぐに反応しない、という習慣が心を守っているんだ。

たしかに…「今どう動くか」より「長く見てどう判断するか」のほうが落ち着けそうです。

ベンジャミン グレアム (著), 土光 篤洋 (著), Benjamin Graham (著)

② 村上世彰氏の「ルール思考」

村上ファンドで知られる村上世彰氏も、感情を抑える仕組みを持っていました。
彼は、どんな相場でも「事前に決めたルール」を絶対に破らなかったといいます。

たとえば、
・想定株価の○%下落で損切り
・保有比率は○%以上にしない
・ニュースで判断しない

これを心理学でいうと“セルフ・バインディング(自己拘束)”というんだ。
未来の自分を信用しすぎない。
だからこそ、冷静な自分が作ったルールに従う仕組みを先に作る。

なるほど、感情に流される“未来の自分”から守るためのルールなんですね。

村上 世彰 (原著), 西 アズナブル (著)

③ 「退屈を恐れない」ことも才能

意外かもしれませんが、成功している長期投資家の多くは“退屈”を味方にしています。
彼らは毎日の値動きに刺激を求めません。
なぜなら、投資で大切なのは「頻度」ではなく「継続」だからです。

相場を見ない勇気も立派な投資行動だよ。
長期投資は“スローファイナンス”。
派手さよりも、じわじわと積み上げる忍耐力が価値になるんだ。

なんだか、静かな修行みたいですね。

(笑)そうだね。
だけど“静けさ”の中にこそ、心の安定と成果が同居しているんだ。

まとめ|株価の波を乗りこなす“心の資産”を育てよう

投資はお金を増やすゲームではありません。
「心の安定をどう保つか」こそ、長期的に成功する鍵です。

毎日の相場変動に反応するたび、心がすり減っていく。
でも、感情を理解し、行動を整えれば、その波に飲み込まれることなく“波に乗る側”になれるでしょう。

投資メンタルを整える3つの意識

視点内容心の効果
時間軸を長く持つ数日ではなく数年単位で考える焦りが減る
感情を客観視する「今、焦ってるな」と気づく習慣冷静さが戻る
目的を思い出す“なぜ投資をしているのか”を定期的に確認モチベーションが安定する

株価は波だ。でも波に逆らって泳ぐと疲れる。
大切なのは、波のリズムに合わせて浮かぶことなんだ。

…つまり、心が沈まないように“浮力”を持てばいいんですね。

そう、それが“心の資産”だ。
知識やお金と同じように、経験を積むことで強くなる。
一度育てたメンタルは、相場がどんなに荒れても君を沈ませない。

たしかに、以前よりも少しずつ冷静に見られるようになってきた気がします。
焦らないことも投資スキルのひとつなんですね。

うん、焦らない勇気、待つ力、そして自分を信じる心。
それこそが、長期投資で一番価値のある「見えない資産」なんだよ。

株価は上がったり下がったりするけど、
自分のメンタルは“右肩上がり”を目指したいです。

その言葉、いいね。
投資家の成長は、資産の増減じゃなく“心の成長曲線”で決まる。
だから今日も焦らず、ゆっくり育てていこう。

はい!株価の波も、もう少し穏やかに見られそうです。

それなら上出来だ。
株価はコントロールできないけれど、
心の動きなら自分の手で調整できる。
それが、投資家としての本当の“勝ち方”なんだよ。

免責事項
本記事に記載された数値は決算短信や関連資料をもとにしていますが、四捨五入や単位換算により実際の公式発表値と若干異なる場合があります。
また、株式投資に関する見解はあくまで筆者の個人的な意見であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は読者ご自身の責任において行ってください。

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