
今日は“株価が何倍にもなった銘柄”を、実名でたどっていこう。



テンバガーの正体、ですね! 具体的には?



キーエンス(計測・センサー)、東京エレクトロン(半導体製造装置)、MonotaRO(工場MROのEC)。ジャンルが違う3社だが、伸びる“骨格”は驚くほど似ている。



「収益性が高くて、長い追い風テーマに乗っていて、規模が大きくなるほど強くなる……そんなイメージ?



まさに。今日は《事例→共通点→探し方→落とし穴→運用の型》の順で、使える形にまで落とし込もう。



お願いします!“森を育てる投資”を実践できるようになりたいです。
具体事例:3社の“伸びた理由”を分解する
① キーエンス:FA×高収益モデルの“複利”
- どんな会社?
工場自動化(FA)で使われる画像センサー、変位計、PLCなどを開発・販売。営業利益率が非常に高く、研究開発に資金を厚く回しつつ、直販体制で顧客課題に即応できるのが強み。 - なぜ伸びた?
- 10年級の追い風(省人化・品質トレーサビリティ)
- 高い粗利と強いキャッシュ創出(R&D再投資→製品力強化→値付け力)
- 直販×高付加価値のスケール効果(導入実績が次の導入を呼ぶ)
- 投資家が見るポイント
製品ラインの更新ペース、既存顧客での横展開、海外比率の伸び。“高収益を守り続けられる体制か”が最大の論点。



「“作る→売る→稼いだ資金を研究に→さらに良い製品”の正循環ですね。



その循環が10年単位で回ると、株価は年輪のように太くなる。
② 東京エレクトロン:半導体装置の“産業の幹”に立つ
- どんな会社?
成膜、エッチング、洗浄、フォトレジスト塗布現像など、多様な工程向け装置を手がける世界的サプライヤー。微細化、3D化、EUVリソグラフィなど世代交代の波の中心にいる。 - なぜ伸びた?
- 半導体の長期需要(AI・データセンター・自動車)
- 装置更改の技術的ハードル↑(参入障壁=堀)
- 受注残・稼働インストールベースの積み上げ(アフターも厚い利益源)
- 投資家が見るポイント
テクノロジーノードの移行(次世代立ち上がり)、顧客の設備投資サイクル、地域ミックス。短期は循環、長期は構造の二重レンズで見ること。



サイクルで上下しつつも、構造の傾きは右上がり…という見方ですね。



「そう。不況で体力を温存→回復局面で一気にシェア拡大、この筋力が本物だ。
③ MonotaRO:軽資産EC×ネットワーク効果の“じわ伸び”
- どんな会社?
工場や工事現場で使う消耗品・工具などをオンラインで直販。長尾(ロングテール)商材を検索と配送で効率よく届け、中小企業の“ちょっと欲しい”に応える。 - なぜ伸びた?
- IT化・EC化という構造テーマ
- データ×在庫×物流のスケール効果(売るほど単位コストが下がる)
- 会員基盤の拡大→再購買→ARPU上昇の複利
- 投資家が見るポイント
新規会員獲得の効率(CAC)、解約率、1顧客あたり購入回数、SKU拡充ペース。“使えば使うほど便利になる”設計が維持できるか。



ECの“勝者の方程式”ですね。検索性・在庫・配送の三位一体!



そして軽資産だから景気の波に“しなやか”でもある。
共通パターン:株価○倍を生む“条件3+1”
教授:「3社に共通するのはこの骨格だ。」
- 10年級の追い風テーマ
省人化・半導体・データ化・EC化といった社会の大きな流れに沿う。 - 収益性と現金創出力
営業利益率が高め、FCFが積み上がる。稼いだ現金をR&Dや基盤強化に再投資。 - スケール&ネットワーク効果
導入実績・装置のインストールベース・会員数・SKUが次の成長を呼ぶ。
+α 資本配分の一貫性
研究開発/M&A/還元の優先順位がぶれない。外れ案件の撤退が早い。



“テーマ×高収益×スケール+一貫性”——覚えました!



これが“太く長く伸びる”会社の型だ。
今日から使える“探し方”テンプレ
Step1:テーマ選定 – 半導体・自動化・EC・医療・グリーンなど10年モノに絞る
Step2:しきい値 – 5年平均で営業利益率10%超/営業CFプラス継続/大幅希薄化なし
Step3:堀(moat) – 参入障壁(特許・規格・設備・切替コスト・チャネル)とKPIの粘り(シェア、受注残、解約率、再来率)
Step4:需給 – 浮動株、分割・公募の履歴、主要株主の動向
Step5:時間分散 – 一括でなく分割エントリー。四半期イベントに合わせて淡々と。



“順番”が大事ですね。興奮して逆から見ちゃいそう。



順番を守れば、暴落でも心が折れない。
“落とし穴”の先取り
- 短期急騰=急落の前振り:ニュースで噴いた直後は、逆回転も速い。信用は慎重に。
- 物語先行・数字貧弱:売上規模が小さいのに時価総額だけ巨大は危うい。資金繰り表も要確認。
- 粉飾・ガバナンス:信頼は一瞬で消える。分散投資と情報ソースのクロスチェックを習慣化。
- 旬ワードへの飛びつき:本物はブーム前から筋トレしている。KPIの粘りを重視。



“買わない勇気”も大事…ですね。



その通り。見送る技術は投資寿命を延ばす。
ミニケース:じわじわ派 vs ドカン派
- じわじわ派(キーエンス/MonotaRO型):毎年KPIが積み上がり、右肩上がりの複利。握力と分散で再現性が高い。
- ドカン派(テーマ急騰):短期で数倍もあるが、出口設計が難しい。上級者向け。



私は“じわじわ派”で。KPI点検と時間分散を日課にします。



賢明だ。退場しないことが最大のアルファだよ。
まとめ
キーエンスはFAという10年級テーマの中心で、高収益×直販という構造を磨き続けて“複利”を実現。
東京エレクトロンは半導体装置の産業の幹で、技術更新の波ごとに装置・アフターの厚い収益を積み上げてきた。
MonotaROはEC化の長期潮流を味方に、データ×在庫×物流の規模効果で“じわ伸び”を継続。
3社に共通するのは、構造テーマ×高い収益性×スケール効果+一貫した資本配分。短期の“噴き値”を当てに行くより、長期で複利が利く土台に資金を置き、KPIの粘り(受注残、継続率、ARPU、シェアなど)を四半期ごとに淡々と点検することが、現実的な勝ち筋だ。
株式投資に関する見解
- 戦略:
- まず長期テーマの地図を描く(半導体・自動化・EC・医療・グリーン)。
- 営業利益率10%超・FCF安定・希薄化小で一次スクリーニング。
- KPIの持続性(シェア、受注残、歩留まり、解約率、ARPU)で“続伸力”を評価。
- 5〜10銘柄に分散+時間分散(毎月・四半期節目)。
- 仮説外れは小さく撤退、退場しない設計を最優先。
- 期待値思考:
“当たれば大きい、外しても痛くない”ポジション設計を反復。平均して前進する仕組みを作る。



今日の3社、どんな共通点が見えたかな?



長期テーマ×高収益×スケール効果+一貫性。株価じゃなくエンジンを見る!



よろしい。数字に“意味”を与えるのが投資家の仕事だ。



KPIの定点観測、やってみます。受注残・ARPU・継続率……四半期の“健康診断”ですね。



そのルーティンが、複利に時間を与える。



焦らず、でもニョキっと。森を育てる投資、続けます!



いい心構えだ。退場しない勇気が、いつか“○倍”の果実を連れてくるよ。