
よし、今日の講義は“決算短信”。投資の世界では欠かせないアイテムじゃな。



ケッサン…しんしん? なんか強そうな呪文っぽい響きですね。



そのセンス、嫌いじゃないぞ。だが現実はもっと地味じゃ。これは“企業の通知表”のようなもので、投資判断に役立つ最重要資料なんじゃよ。
決算短信とは?
決算短信とは、上場企業が3ヶ月ごと(四半期ごと)に発表する財務情報の速報版です。企業の売上や利益のほか、今後の業績見通しやセグメント(事業部門)ごとの動向がまとめられています。
なぜ重要なのか?
- 株価が大きく動く要因になる
- 投資家・アナリスト・報道機関が最も注目する資料
- 本決算(3月期など)の場合は、配当・来期予想も含まれる



ということは、投資するときの“答え合わせ”にも“ヒント探し”にもなるわけですね!
決算短信の基本構成(図解イメージ)
表紙 | 会社名、発表日、対象期間、証券コードなど |
業績概要 | 売上、営業利益、純利益など(前年同期比含む) |
セグメント情報 | 各事業ごとの売上・利益の推移 |
通期見通し | 今後の売上・利益見込みと配当予想 |
注記・特記事項 | 経理変更・特損・為替影響など |
企業によって多少の違いはあるものの、大枠は上記のような構成です。PDF形式で公開され、証券取引所のサイトや企業IRページから閲覧できます。
読み方のコツ4ステップ
① 売上高と利益をチェック
最初に見るべきは、売上高・営業利益・純利益。この3つの数字が前年同期比でどれだけ伸びたか・減ったかがポイントです。
- 売上高:商品やサービスを販売して得た総収入
- 営業利益:本業からの利益(稼ぐ力)
- 純利益:税引後の最終利益(株主の取り分に近い)



“売上は増えたけど利益は減った”なんてケースも多いぞ。



えっ、それってつまり…売れてるけど儲かってないってこと?



鋭いのう。原材料高や人件費増など、コストが上がっている場合によくある話じゃ。
② セグメントごとの動きを見る
企業の事業は複数に分かれており、どの部門が伸びているかで成長のヒントが見えてきます。
例)
- 自動車事業は好調でも、金融事業が低迷
- 国内は横ばいでも、海外売上が急増 など
③ 通期予想とその変化に注目
短信には、今後1年分の業績予想(通期見通し)が掲載されています。ここが上方修正・下方修正されると、株価に大きな影響を及ぼします。
例)
- 売上・利益予想を“据え置き”→期待外れで株価下落も
- わずかな“上方修正”→ポジティブサプライズで株価上昇
④ 特別損失や注記事項を確認
短信の後半に記載されることの多い「注記事項」。ここには、経営判断や一時的な損失が記載されています。
- 減損損失(のれん・固定資産の評価見直し)
- 棚卸資産評価損(売れ残りリスク)
- 一時的な法規制の影響 など
初心者がつまずきやすい3つの誤解
誤解 | 実際は… |
---|---|
売上が増えた=良い決算 | 利益が減っていれば評価されないことも |
見通し“据え置き”=悪い | 実は保守的判断でポジティブな場合も |
特別損失=経営悪化 | 一時的で回復可能なケースも多い |
決算短信ってどんな企業でも同じ?



でも、企業によって違いませんか?ソニーとマクドナルドじゃ全然違いそう。



確かに、事業モデルや会計方針で微妙な違いはある。だが、読み方の“基本”はどの業種でも共通しておる。
- 製造業なら…原材料コスト・在庫回転率も要注目
- サービス業なら…人件費・広告宣伝費の増減がカギ
- 小売業なら…来店客数・客単価・店舗数がヒント
決算短信を読む目的は?
- 株式投資の判断材料(買う・売る・保有)
- 企業の成長性・安定性のチェック
- 同業他社と比較して“勝ち組”を探す
まとめ:決算短信は“数字で語る企業のストーリー”



なるほど…ただの数字の羅列かと思ってたけど、“企業の物語”だったんですね。



うむ。数字には“背景”と“意図”が込められておる。それを読み解けるようになると、投資の世界がぐっと広がるぞ。



次は、実際の企業の短信を一緒に読んでみたいです!



よかろう。ユニクロか任天堂の短信で、次回は実践編じゃ!