家の値段も株の値段も気になる日常

教授、この前ニュースで「積水ハウスの決算が出た」って聞いたんですけど、正直住宅メーカーの数字って難しそうで…。



そう思う人は多いね。でも住宅って私たちの生活に直結するから、実は身近なんだよ。しかも積水ハウスは国内最大級のハウスメーカーで、株主還元も積極的なんだ。



家を建てるお金の話と、株を買うお金の話がつながってるんですね。



その通り。今日は積水ハウスの最新決算を、数字と背景を交えてわかりやすく見ていこう。
国内は堅調、海外での逆風が影響する決算
積水ハウスが発表した2026年1月期第2四半期(2025年2月~7月)決算は、売上高2兆154億円(前年同期比+8.4%)と増収を達成しました。
一方で、営業利益は1,554億円(同-1.1%)、純利益は1,016億円(同-17.4%)と減益。国内では戸建・賃貸・建築土木が好調だったものの、米国事業における住宅ローン金利の高止まりやのれん償却が利益を圧迫しました。
ただし、株主還元姿勢は明確で、配当を前年の135円から144円(中間72円・期末72円)へ増配。通期予想(売上高4兆3,310億円、営業利益3,400億円、純利益2,320億円)は据え置きとしました。



増収なのに利益が減ってるのは海外の逆風なんですね。



そう。国内で稼ぎながら、海外でのリスクをどう吸収するかが焦点なんだ。
決算ハイライト|積水ハウスの主要数値
四半期の主要数値を表で整理します。
連結業績(単位:億円)
項目 | 2025年Q2実績 | 2026年Q2実績 | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 18,583 | 20,154 | +8.4% |
営業利益 | 1,572 | 1,554 | -1.1% |
経常利益 | 1,678 | 1,537 | -8.4% |
純利益 | 1,230 | 1,016 | -17.4% |



売上は伸びてるのに、営業利益と純利益が落ちてますね。



米国の金利高やのれん償却費の影響が重かったんだ。増収減益はその典型例だね。
業績の傾向まとめ|国内が支え、海外が足を引っ張る構図
今回の決算は「国内堅調・海外苦戦」という構図がはっきり出ました。国内市場では戸建や賃貸住宅、建築・土木が安定した需要を背景に伸びましたが、米国では金利高止まりで住宅需要が抑制され、利益が大きく削られました。
- 国内戸建:需要底堅く、ZEH(ネットゼロエネルギーハウス)など環境対応型が好調
- 賃貸住宅管理:ストック型ビジネスとして安定成長
- 建築・土木:都市再開発や大型案件の寄与
- 海外事業:米国での販売減、のれん償却負担が利益を圧迫



日本では家が順調に売れてるけど、アメリカの高金利が響いてるんですね。



その通り。金利は住宅市場の命綱だから、特に米国事業の収益性に直結するんだ。
良かった点|国内市場の強さと増配
積水ハウスの決算にはいくつかのポジティブ要素があります。国内市場の堅調さが会社全体を支え、株主還元も積極的です。
- 国内戸建の安定成長:高付加価値住宅への需要が堅調
- 賃貸住宅管理事業:入居率の改善で安定的収益源に
- 建築・土木事業:大型案件の寄与で増収に貢献
- 増配実施:前年135円から144円へ増配し、株主還元姿勢を明確化



家を売るだけじゃなく、管理や土木まで幅広いんですね。



そう。積水ハウスは“建てて終わり”じゃなく、“管理や都市づくり”まで手掛けているんだ。
課題・懸念点|海外リスクと利益率の低下
良い点がある一方で、いくつかの課題も浮き彫りになりました。特に海外事業のリスクが利益に直結しています。
- 米国事業の逆風:住宅ローン金利高止まりで販売減
- のれん償却の負担:海外M&Aのコストが利益を圧迫
- 利益率の低下:国内が好調でも海外赤字で全体の利益率が悪化
- 為替リスク:円安メリットもあるが、海外展開のコストに影響



アメリカの金利って、日本の住宅メーカーにもこんなに影響するんですね。



グローバルに展開しているからこそ、世界経済の動きがダイレクトに反映されるんだよ。
通期見通しと注目点
積水ハウスは2026年1月期通期の業績予想を据え置きました。
- 売上高:4兆3,310億円
- 営業利益:3,400億円
- 純利益:2,320億円
- 配当:年間144円(中間72円、期末72円)
注目ポイントは、国内の安定成長で海外の逆風をどこまでカバーできるか。そして、米国金利動向と海外M&A後の事業統合効果です。



海外が落ち着けば、一気に利益が戻りそうですね。



そう。国内の基盤は強いから、外部環境次第で上振れの可能性もあるんだ。
まとめ|国内基盤の強さと海外リスクをどう評価するか
総評
積水ハウスの第2四半期決算は、売上増にもかかわらず営業利益と純利益が減少する「増収減益」となりました。
背景には米国の高金利やのれん償却といった海外リスクがあります。
一方で国内事業は堅調に推移し、戸建・賃貸・建築土木がバランスよく成長。さらに増配を実施し、株主還元姿勢を明確に示しました。
投資見解
- 短期:海外事業の逆風により株価は不安定。ただし配当利回りは魅力的。
- 中期:米国金利の低下や事業統合の進展で利益改善の余地あり。
- 長期:国内市場の安定成長と海外展開の成否が株価上昇のカギ。



積水ハウスって国内ではすごく安定してるんですね。



そう。国内基盤がしっかりしているからこそ、海外の逆風にも耐えられるんだ。



でも米国金利次第で利益が変わるのは怖いですね。



リスクはあるけど、その分リターンも大きい。投資家はバランスを見極める必要がある。



じゃあ、私は「増配」の部分に注目してみます!



いい視点だね。配当で報いてくれる会社は長期投資に向いているんだよ。

