
最近、街中でEV(電気自動車)を見かけることが増えたと思わない?



たしかに!この前もスーパーの駐車場で充電スタンドを見かけました。あれ、前は全然なかったですよね



そうだね。ここ数年で急速に増えている。世界では今、自動車産業の100年に一度の転換期が来ているんだ。



それが「EVシフト」ってやつですね!



その通り。ガソリン車から電気自動車へ、つまり“エンジンからモーター”へ切り替わる流れだね。



ということは……株の世界でもチャンスってことですか?



鋭いね。その通り。今後10年で、EV関連企業が次の成長セクターになると見られている。
世界的にカーボンニュートラル(脱炭素)への取り組みが進み、
各国政府はEV(電気自動車)を中心としたモビリティ転換を進めています。
たとえば──
- 欧州連合(EU):2035年に新車販売の内燃機関(ガソリン車)禁止
- アメリカ:2030年までに新車販売の50%をEV化
- 日本政府:2035年までに新車販売で電動車100%を目指す
つまり、ガソリン車が主役だった時代は終わりを迎え、EVやハイブリッド車、燃料電池車(FCV)などの電動化車両が主流になるのです。



でもEVって、テスラのイメージが強いです。



うん。テスラは確かに世界のリーダーだね。でも日本にも、
モーター、電池、素材、部品など、EVの基盤を支える実力企業が数多くあるんだ。



ということは、世界のEVシフトを裏で支える“日本企業の株”が狙い目?



その通り。今日は、そんなEV関連株の全体像を一緒に見ていこう。
EV関連株とは?電動化時代の投資テーマを整理
EV関連株の定義
まず「EV関連株」とは、電気自動車の開発・製造・普及に関わる企業の株式のことです。
単に自動車メーカーだけでなく、電池、半導体、素材、電子部品、充電インフラなど、サプライチェーン全体が投資対象に含まれます。



たとえばスマホで言えば、iPhoneを作るアップルだけでなく、
その中の部品を供給するメーカーも“関連株”になる。



なるほど。じゃあEVの場合も、トヨタだけじゃなくて、デンソーや村田製作所も関係してくるんですね。
実際、EV関連株は大きく次のように分類できます
| カテゴリ | 具体例 | 主な日本企業 |
|---|---|---|
| 完成車メーカー | EVそのものを製造 | トヨタ、日産、ホンダ |
| バッテリー・素材 | リチウム電池、銅・ニッケルなどの素材 | パナソニック、TDK、住友金属鉱山 |
| 半導体・制御部品 | モーター制御や電力変換を担う | デンソー、ローム、富士電機 |
| 電子部品・センサー | 車載向けコンデンサー・通信部品 | 村田製作所、京セラ、日本電産 |
| 充電・インフラ | 充電スタンド、送電設備 | 住友電工、東京電力HD、ENEOS |
つまり、EV関連株は「クルマの部品1つ1つに広がる投資テーマ」なのです。
EV市場の急成長
では、なぜここまで注目されているのでしょうか。
答えはシンプル。世界的なEV市場の急成長です。
- 2023年の世界EV販売台数:約1,400万台(前年比+35%)
- 2030年には約4,000万台超が見込まれる
- EV販売比率は新車全体の40%を占める見通し
出典:2023年の世界のEV販売台数は35%増の1,380万台、IEA見通し
2030年世界のEV普及率は4割に、EVシフトで“儲ける”のはどこ?



EVが普及するほど、関連部品の需要も指数関数的に増えていく。



たとえばモーターや電池、電子制御装置ですよね。



そうそう。内燃機関車には不要だった新しい電子部品が必要になる。
つまり、関連企業の業績が伸びやすいんだ。
特に日本企業は、長年培った高品質な素材・部品技術が評価され、世界中のEVメーカーから引き合いがある状態です。
日本企業の強みは「縁の下の力持ち」技術
日本企業はEVそのもののシェアではテスラや中国勢に劣りますが、バッテリー、センサー、半導体、制御装置など、EVの心臓部を支える分野では世界トップクラスです。
たとえば──
- デンソー:EV向けインバーター、パワー半導体で世界シェア上位
- 村田製作所:車載用コンデンサーで世界トップ
- パナソニックHD:テスラ向け電池供給でグローバル展開
- 住友電気工業:充電ケーブルやモーター用素材で国内随一



つまり、“主役じゃないけど欠かせない企業”が日本に多いんですね。



まさにそれ。EV関連株を探すときは、「クルマの裏方」を見るのがコツなんだ。
EV投資のキーワード:「政策」と「技術革新」
EV関連株は、単なるトレンドではなく、国策と技術革新の両輪で動くテーマ株です。
- 国策面:日本政府の「グリーン成長戦略」によるEV普及支援、補助金、税制優遇
- 技術面:全固体電池・SiC半導体・軽量素材などの開発競争



たとえば「全固体電池」が実用化されれば、充電時間は短く、航続距離は2倍以上になる。



すごい……それが実現したらEVが一気に普及しそうですね。



そう。だから、次世代電池関連の企業は要注目なんだ。
トヨタ自動車(7203)|ハイブリッドからEVへ進化する巨人



EVといえばテスラ、でも“EV時代の本命”はトヨタかもしれないね。



えっ、トヨタってまだEVそんなに出してないイメージありますけど?
確かに、トヨタは他社よりもEV化のスピードが遅いと言われていました。
しかし実際には、「ハイブリッド(HV)」という形で、すでに電動化技術の蓄積では世界トップクラスのポジションを持っています。
トヨタのEV戦略とは
トヨタは2030年までにEV・HV合わせて年間350万台以上の販売を目指しており、その中でもEV(バッテリー車)だけで180万台を計画しています。
さらに注目すべきは、「全固体電池」への取り組み。
現在のリチウムイオン電池よりも軽く、充電時間が半分、航続距離が2倍になるとされ、2027〜28年の実用化を目指しています。



この全固体電池が実現したら、世界のEV市場は再びトヨタが中心になるだろうね。



たしかに!テスラに追いつくどころか、逆転の可能性も?
また、トヨタは「bZシリーズ」というEVブランドを展開。
北米や中国市場でもEV専用モデルを投入し、グローバルで攻勢を強めています。
投資ポイント
- 時価総額:約50兆円と国内トップ規模
- 営業利益率10%超、安定した財務基盤
- EVだけでなくハイブリッド・水素車など“マルチ電動化戦略”
EV関連株の中では、「長期安定+成長の両立」を目指せる代表格です。
トヨタは単なる自動車メーカーではなく、モビリティ社会全体のインフラ企業へと変貌を遂げつつあります。


デンソー(6902)|“EVの心臓”パワー半導体で勝負



トヨタの部品って、やっぱりグループ企業のデンソーが作ってるんですよね?



その通り。トヨタグループの中核サプライヤーであり、EV化の最大の恩恵を受ける企業の一つだよ。
デンソーは「車の中枢神経」と呼ばれるほど、エンジン制御・電動化・安全システムなどの主要部品を手がけています。
EV化のカギ「パワー半導体」
EVでは、モーターを動かすために電力の制御が不可欠です。
その要となるのが「パワー半導体」。
デンソーはこの分野で世界的な技術力を持ち、2025年以降、SiC(炭化ケイ素)半導体を量産予定です。



SiCは、従来のシリコンよりも電力損失が小さく、効率が高いんだ。



つまり、省エネで車の航続距離も伸びるってことですね!
さらに、デンソーは2024年にロームと共同で新工場を建設。
車載用半導体の国内供給網を強化する計画です。
投資ポイント
- 売上高 約6兆円規模、世界の自動車部品メーカー上位
- EV向け電装品比率が年々上昇(30%→50%へ)
- SiCパワー半導体・冷却システムで世界シェア拡大



つまり、EVが普及するほど“デンソーの出番”が増える構造になっているんだ。



主役じゃないけど、EVの“心臓”を作ってる感じですね。
トヨタと並び、デンソーは日本のEV関連株を語るうえで欠かせない存在です。


村田製作所(6981)|小さな部品で世界を動かす電子部品の雄



そして忘れちゃいけないのが、村田製作所。



スマホの部品メーカーって印象ですけど、EVにも関係あるんですか?
村田製作所はスマホだけでなく、EVにも不可欠な電子部品を数多く供給しています。
EVは1台あたりの電子部品点数がガソリン車の2〜3倍にもなるため、コンデンサーやセンサー、通信モジュールの需要が爆発的に増加しています。
EV時代の“影の主役”
村田製作所が得意とするのは、「セラミックコンデンサー」。
これは電力を一時的に蓄え、安定供給するための超小型部品です。



EVはモーターを動かす時に大量の電流が流れるから、
安定化のために数千個ものコンデンサーが使われるんだ。



数千個!? そんなに!
しかも、村田製作所の部品は信頼性が高く、テスラやフォルクスワーゲンなど海外メーカーにも採用されています。
投資ポイント
- 世界トップシェアのセラミックコンデンサー
- EV・自動運転・通信(5G)など多分野で需要拡大
- 高利益率・無借金経営・安定した株主還元
村田製作所は、“どのメーカーのEVにも入る部品”を作る企業です。
つまり、トヨタが勝っても、テスラが勝っても、村田が恩恵を受ける構造です。



まさに“EV時代のオールラウンダー”だね。



目立たないけど、世界中のクルマを支えてるんですね。
村田製作所のような電子部品メーカーは、地味だけど底力があるEV関連株として長期保有にも向いています。


パナソニックHD(6752)|テスラとの関係と次世代電池への挑戦



教授、EVのバッテリーといえばパナソニックですよね?



その通り。パナソニックは、テスラのEV普及を支えてきた“電池の老舗”なんだ。
テスラとの強力タッグ
パナソニックは、米テスラと2009年から提携を開始し、ネバダ州のギガファクトリーでリチウムイオン電池を共同生産しています。
テスラがEV市場で急成長できた背景には、パナソニックの高性能電池がありました。
近年では、新型の「4680セル」と呼ばれる円筒型電池の開発にも注力。
この電池はエネルギー密度が高く、充電時間を短縮し、航続距離を延ばす効果があるとされています。



EVにとって電池は“エンジンに相当する部品”。
ここを握っているパナソニックは、EV市場の主導権を握る企業の一つなんだ。



なるほど、EV業界の“心臓製造メーカー”ですね。
事業拡大と株価の注目点
- 北米で新工場(カンザス州)建設中、2026年稼働予定
- トヨタやマツダなど日本勢とも提携拡大
- 2024年度はEV向け電池事業だけで売上1兆円超を計画
パナソニックのEV電池は、テスラ向けだけでなく、
GM、フォード、ホンダなど他社への供給も拡大中。
「脱テスラ依存+多角展開」が株価安定の鍵になっています。



パナソニックって家電のイメージだったけど、今は完全に“電池メーカー”ですね。



まさにそう。EV市場では“電池が覇者を決める”と言われるほどだよ。


住友電気工業(5802)|EV配線・素材で支える“縁の下の力持ち”
EVが普及すればするほど重要になるのが、電気の流れを支える配線や素材。
その分野で圧倒的な存在感を持つのが、住友電気工業です。



え、配線?そんな地味なところが投資のテーマになるんですか?



そこがポイント。EVは電子制御化が進み、ガソリン車よりも配線の量が2〜3倍になる。
つまり、見えないところでビジネスチャンスが広がっているんだ。
住友電工の強み
- ワイヤーハーネス(電線束):EV内部の信号と電力を伝達
- 電池材料:リチウムイオン電池の正極・負極材を供給
- 充電インフラ:EV用急速充電ケーブルやコネクタを製造
特にワイヤーハーネス分野では、トヨタ・日産・ホンダをはじめ、多くの自動車メーカーに採用されており、世界シェアも高水準です。



EVが普及すれば、電気を通す“血管”も増える。
その血管を作っているのが住友電工なんだ。



たしかに、電気が通らなきゃEVも動きませんね。
投資ポイント
- EV配線・充電ケーブルの需要拡大で長期安定成長
- 電池素材分野でパナソニック・トヨタ系サプライヤーに位置
- 半導体用素材など、他分野との相乗効果も
さらに、EV充電インフラ市場では、ENEOSや東京電力と連携して充電スタンド向けケーブルの標準化を推進中。



地味だけど、日本のEV化を“裏で支える企業”って感じですね。



まさにそれ。派手な成長ではないけれど、
「EVが走る限り必ず必要な企業」――それが住友電工の魅力だね。


今後の市場動向|補助金・政策・世界シェアの行方



教授、EVの話を聞いてると未来が明るく感じますけど、
世界的にはどんな流れになってるんですか?



いい質問だね。今、EV市場は“政策と競争”の二本柱で動いているんだ。
世界各国のEV政策
世界の政府は、EV普及を後押しするために巨額の補助金や税優遇を投入しています。
- アメリカ:「インフレ抑制法(IRA)」で、EV購入に最大7,500ドルの税控除
- EU:2035年までにガソリン車販売禁止、各国で補助金制度を実施
- 中国:国家主導でインフラ整備を推進、2024年時点でEVシェア40%突破
- 日本:EV購入時に最大85万円の補助金+充電設備への助成
こうした政府支援によって、EVの販売台数は右肩上がり。
特に中国市場は世界最大で、BYDやNIOといった新興メーカーが台頭しています。



中国すごいですね。じゃあ日本勢は出遅れ気味?



そう見えるけど、実は“縁の下の力持ち”として、部品・電池・素材で確実に存在感を出してるんだ。
日本企業が握る技術の鍵
日本は完成車ではなくても、素材と技術の分野で強い武器を持っています。
- トヨタ・パナソニック:全固体電池や高効率電池の研究開発
- デンソー・ローム:SiC半導体によるエネルギー効率化
- 村田製作所:小型電子部品・センサー技術で世界シェア上位
- 住友電工:配線・ケーブルなどEVの基幹インフラを支える



日本はEVを作る“表の主役”じゃなく、
世界中のEVを動かす“裏方の支配者”とも言えるね。



たしかに、地味だけどすごい。まるで世界中のEVの「血管と神経」を握ってるみたい!
株価動向と投資の視点
EV関連株は、世界的な需要拡大に支えられて長期成長が見込まれますが、短期的には政策変更・為替・素材価格の影響も受けやすい点に注意が必要です。
たとえば──
- リチウムなどの電池素材価格が上昇すれば、電池メーカーの利益率に影響
- 為替が円高になれば、輸出企業には逆風
- 政府の補助金が縮小すれば、販売台数の伸びが鈍化
ただし、こうしたリスクを踏まえても、EV市場の拡大は確実に進んでいます。
投資のポイントは「成長を支える部品・素材企業に注目すること」。



つまり、“EVを作る企業”ではなく“EVを支える企業”を見つけることが大切なんだ。



トヨタとかテスラに注目しがちだけど、裏方の方が安定してるんですね。
まとめ|“走る家電”時代をどう投資で捉えるか
EVは単なるクルマの進化ではなく、「走る家電」=モビリティ×IT革命です。
スマホのようにアップデートされ、通信し、学習し、最適化していく――
そんな時代の主役に、今のEVがなろうとしています。
そして、その基盤を支えているのが日本企業の技術力。



EVを構成する部品の約6割は日本メーカー製と言われている。



えっ、それってすごくないですか!?



そう。だから日本のEV関連株は、世界の成長を“陰で取り込む”存在なんだよ。
今後注目すべきテーマ
- 全固体電池の実用化(2027年以降)
→ トヨタ、パナソニックが先陣を切る。EVの航続距離が2倍へ。 - SiCパワー半導体の普及
→ デンソーやロームが牽引。省エネ・軽量化に不可欠。 - EVインフラ整備と配線需要の増加
→ 住友電工、古河電工など“縁の下の力持ち”銘柄。 - 電子部品の高機能化
→ 村田製作所や京セラなど、車載電子部品の需要が長期拡大。



なんだか、どの企業も“地味にすごい”ですね。



その通り。派手さはないけど、安定して伸びる企業こそ投資の主役なんだ。
この記事のまとめ
- EV関連株は、電動化・脱炭素の追い風を受けた長期成長テーマ
- 日本企業は「完成車よりも部品・技術」で世界を支える
- トヨタ、デンソー、村田製作所、パナソニック、住友電工などが有望
- EV化の波は加速中、今後10年で自動車業界の構造が一変
EVはもう“未来の話”ではなく、“今、投資できるテーマ”です。
電動化の波に乗るか、それとも見送るか――。
その選択が、未来のポートフォリオを左右するかもしれません。



教授、EV投資ってやっぱり夢がありますね。



うん。これからの時代、クルマは“走る電化製品”。
つまり、トヨタはアップルに、デンソーはインテルになるかもしれない。



それって……すごい時代ですね。



だからこそ、今のうちに“次の波”を知っておくことが大事なんだ。



じゃあ私は、EVに未来を賭けて……まずは株価チェックから始めます!



(笑)焦らずね。投資はレースじゃなくて、長距離走だよ。












