セール品と株の「割安」の共通点

教授、デパートのセールで70%オフって出てると「掘り出し物!」って思いますよね。



そうだね。実は株の世界にも“割安”を測る指標があって、それがPBRなんだ。



PBR?あまり聞き慣れません…。



今日は「PBR1倍以下」の大型株を紹介しよう。実は今、日本市場には有名企業でも“セール価格”になっている株があるんだ。
PBRとは?株価の割安度を測る指標
PBR(株価純資産倍率)とは、株価が1株あたり純資産の何倍で取引されているかを示す指標です。計算式は以下の通りです。
- PBR=1倍:会社を解散して資産をすべて分配したときの価値と同じ水準
- PBR<1倍:株価が資産価値よりも安く評価されている(割安)
- PBR>1倍:株価が資産価値以上に評価されている



つまり、PBR1倍以下の株は「解散したときの資産よりも安く買える」状態だね。



え!そんなにお得なのに、なんで誰も買わないんですか?



そこがポイント。低PBRには必ず理由があるんだ。成長性の鈍化や業界の逆風など、株価が上がらない背景を見極める必要があるんだよ。
PBR1倍以下の国内大型株6社一覧
では実際に、PBRが1倍を下回っている国内の大型株を一覧で見てみましょう。(2025/08/31時点)
企業名 | 業種 | PBR | 配当利回り(目安) |
---|---|---|---|
積水ハウス | 住宅・不動産 | 0.9倍 | 約3〜4% |
武田薬品工業 | 医薬品 | 0.7倍 | 約4% |
本田技研工業(ホンダ) | 自動車 | 0.6倍 | 約3〜4% |
野村ホールディングス | 金融 | 0.7倍 | 約4〜5% |
MS&AD | 保険 | 0.8倍 | 約4% |
日本製鉄 | 鉄鋼 | 0.5倍 | 約4〜5% |



教授、誰もが知っている大企業ばかりですね。



そうなんだ。これらの企業はグローバルに展開していて利益も安定しているのに、市場では割安に放置されているんだよ。
積水ハウス|住宅需要と安定配当が魅力
積水ハウスは住宅メーカーの大手で、安定的な住宅需要と高いブランド力を持っています。PBRはおよそ0.9倍と1倍を下回り、割安感が意識されています。
- プラス要因:安定した住宅需要、海外展開の拡大、株主還元姿勢
- 懸念点:少子化による国内住宅需要の伸び悩み



住宅は景気に左右されやすいけど、積水は海外事業も育てている。配当も安定していて長期保有向きだね。



なるほど、住宅株でもグローバル化が大事なんですね。
武田薬品工業|グローバル製薬企業の低評価
武田薬品は日本最大の製薬会社で、世界的にも存在感があります。大型M&Aによる負債の多さが市場で懸念され、PBRは0.7倍程度に低迷しています。
- プラス要因:グローバル販売網、新薬の開発 pipeline、安定的な配当
- 懸念点:買収後の債務負担、開発リスク



薬はなくならないから安定してそうなのに、なんで低PBRなんですか?



新薬開発には莫大なコストとリスクがあるからだね。投資家はそのリスクを嫌うんだ。
本田技研工業(ホンダ)|EVシフトで割安放置?
ホンダは自動車大手で、二輪市場では世界トップクラス。PBRは0.6倍程度と割安ですが、電気自動車(EV)シフトの遅れが懸念されています。
- プラス要因:世界的なブランド力、二輪市場での強み
- 懸念点:EV化の遅れ、競合他社との技術競争



ホンダは二輪で稼ぐ力が強いけど、四輪のEV戦略はまだ途上。投資家はそこを警戒しているんだよ。



でも逆に、EV戦略が成功したら株価上昇の余地も大きそうですね!
野村ホールディングス|金融株全般に広がる低評価
野村HDは証券業界の国内最大手。株価は低迷し、PBRは0.7倍程度です。金融株全般に言えることですが、金利環境や市場依存度の高さが嫌気されています。
- プラス要因:日本最大の証券ネットワーク、国際展開
- 懸念点:市場環境に業績が大きく左右される



証券会社は市場が盛り上がると稼げるけど、停滞すると一気に苦しくなるんだ。



つまり景気と一緒に株価も波に乗るんですね。
MS&AD|保険株の安定感と低PBR
MS&ADは国内大手の損害保険グループ。保険株は安定収益が期待できる一方、市場では成長性に乏しいと見られがちでPBRは0.8倍前後。
- プラス要因:安定的な保険収益、株主還元の強化
- 懸念点:自然災害リスク、低金利環境による資産運用の難しさ



保険って「安定してそう」なのに評価が低いんですね。



安定しているけど、大きな成長が見込みづらいから市場では低PBRに放置されやすいんだ。
日本製鉄|資源株ならではの低評価
日本製鉄は国内最大の鉄鋼メーカーで、世界的にも有力な存在です。景気敏感株として評価が低く、PBRは0.5倍とかなり低水準。
- プラス要因:世界的な鉄鋼需要、コスト改善努力
- 懸念点:資源価格や景気の影響を強く受ける



鉄鋼は景気次第で需要が大きく変わる。だから好況でも株価が伸びきらず、低PBRに留まりがちなんだ。



逆に言うと、景気が良くなれば大きく上がる可能性もありますね!
低PBR株投資のメリットとリスク
メリット
- 資産価値から見て割安に買える可能性
- 高配当株が多い
- 大型株は倒産リスクが小さい
リスク
- 成長性の低さから株価が長期停滞する可能性
- 業界構造的な課題(少子化・EVシフト・金融環境など)
- PBRが改善しないまま放置されることも



やっぱり「安いから買う」だけじゃダメなんですね。



そうだね。なぜ安いのか、その背景を理解して投資判断することが大事なんだ。
今後の注目点|東証の要請と株主還元強化
東京証券取引所は上場企業に対し「資本効率の改善」を強く求めています。
特にPBR1倍割れの企業には、自社株買いや配当強化、ROE改善策を求める動きが出ています。



つまり、低PBR株は「放置されたまま」ではなく、改善努力が進む可能性が高いんだ。



じゃあ今の割安株を仕込むのはチャンスかもしれないってことですね!



その通り。資本政策次第で大きな見直しが入る可能性があるんだよ。
まとめ|低PBR株は「理由を見極めて狙う」
PBR1倍以下の大型株は、一見すると「お得なセール株」に見えます。しかし、その裏には成長性への疑問や業界特有のリスクがあります。
とはいえ、積水ハウスや武田薬品のように安定的に稼ぐ力を持つ企業や、ホンダや日本製鉄のように改善余地が大きい企業も存在します。
投資家に求められるのは「なぜ割安なのか」を見極める目。そして東証の改革が進む中、低PBR株は今後注目されやすいテーマであることは間違いありません。



低PBR株ってまさに“セール価格の株”ってことなんですね。



そうだよ。でも「セール品でも理由がある」ように、株も背景を見ないと失敗する。



たしかに、安さだけで飛びつくのは危ないですね。



その分、理由を見極めればリターンも大きい。割安株投資の醍醐味だね。



よし!次の休日はウィンドウショッピングじゃなく、株のスクリーニングに行きます!



いいね。株探しは“お買い物”の感覚で楽しむのが長続きの秘訣なんだ。